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岩波現代文庫
宮沢賢治「銀河鉄道の夜」精読

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  • サイズ 文庫判/ページ数 338p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006020453
  • NDC分類 913.8
  • Cコード C0195

出版社内容情報

宗教学者である著者は,ジョバンニの銀河体験をシャーマンの脱魂や宇宙体験と結びつけ,繰り返し論じられてきたこの美しい物語の信しい読解を試みる.「ほんたうのさいはひ」とは何か.賢治の思想を大胆に読み直す.

内容説明

未完の美しい物語「銀河鉄道の夜」は、多くの詩人たちを魅了しつづけ、想像力を喚起してきた。宗教学者である著者は、ジョバンニの銀河体験をシャーマンの脱魂体験や宇宙体験と結びつける。「ほんたうのさいはひ」とは何か。テキストの変遷を追いながら、賢治が表現しようとした人間の存在論的な孤独に迫る圧巻の新読解。

目次

序章 鳥シャーマンの孤独と遠さ
第1章 僕はほんたうにつらいなあ―修羅の涙
第2章 みんなのほんたうのさいはひをさがしに行く―菩薩への求道
第3章 セロのやうな声―ブルカニロ博士の実験
第4章 どこまででも行ける切符―幻想第四次の銀河鉄道の緑の切符
第5章 ほんたうのたった一人の神さま―一乗の乗り物
第6章 今日牛乳がぼくのところに来なかったのですが―ジョバンニの帰還、あるいは菩薩は往く人ではなく還る人である
終章 鳥シャーマンはどこの空を飛ぶか?
銀河鉄道の夜(宮沢賢治)(初期形第一次稿;初期形第二次次稿;初期形第三次稿)

著者等紹介

鎌田東二[カマタトウジ]
1951年徳島県生まれ。国学院大学大学院神道学専攻博士課程修了。武蔵丘短期大学助教授。文学博士(筑波大学)。東京自由大学運営委員長
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

59
「銀河鉄道の夜」第一~四次までの改稿された原稿が掲載されており、さらにそれに対する評論も記されている。これを読むと、賢治というひとが宗教の中に救いを求めた孤独な人だったことがよくわかる。なんとなく銀河鉄道の夜にはキリスト教の感触しかしないように思っていたため、法華経のアプローチは新鮮であった。賢治の作品が、童話を超越しているのはそういった理由からだと思う。2016/08/13

井月 奎(いづき けい)

35
宮沢賢治の読み解きは楽しくも苦しい。詩人、宗教人でもある賢治の言葉は二重三重の意味が込められ、暗喩もかさなり厚い層を成し、自身の他作品との関係も盛り込んでおり、哲学の様相をすら呈する。著者は鍵を一つずつ用いて意味を拾い出していく。一つの鍵は四つの稿までを重ねる推敲で、変化した箇所に注目する。浮かび上がるのはジョバンニの孤独である。孤独は賢治の作品において大きい意味を持つ要素であろう。それがさらに第四次稿では際立つのである。その孤独を受け入れたジョバンニをどう見るかによって物語の色合いも変ってみえるのです。2016/03/13

syota

24
『銀河鉄道の夜』は私の好きな作品だが、各エピソードの解釈はもちろん、そもそもあの旅はいったい何だったのか、それまで決定的な役割を果たしていたブルカニロ博士はなぜ第四次稿で全面削除されたのか、など謎だらけの作品でもあった。これに対し本書は、第一次稿から第四次稿までを丹念に追い、賢治の他の著作や実生活にまで考察を広げて根本を貫く思想に切り込み、「ほんたうのさいはひ」を追い求めるジョバンニの終わりのない旅の真の意味と、彼の役割の変遷を浮き彫りにしている。読みの深さと幅広い知識に裏打ちされた、説得力溢れる一冊だ。2018/07/28

はじめさん

18
広く読まれている四次稿も含め、全ての稿が収録されている。そして、銀河鉄道の夜は決定稿がないまま賢治が死去してしまっている。一〜三次では銀河鉄道の出来事は博士の実験であり、カンパネルラが川に落ちた下りもなければ、ジョバンニと父親同士が知己のため友達という設定もなく、クラスの優等生に憧憬しているように見える。/ 2人は別れるが時間がもう一周、999で言う所の時の輪が接する所に行けばもう一度、何度でも会える。そこからの脱却=本当の幸い=メサイアシンドローム/ カオルとシンジ/ 賢治生誕120年。還暦二週目。(H2016/07/07

マカロニ マカロン

13
個人の感想です:B+。『銀鉄』読書会の参考資料。『銀鉄』の解説本として定評のある本。銀鉄の第一稿、二稿、三稿も所収されている。現在一般的に出版され読まれているのは最後の四稿にあたるが、実際の読んでいくと、(約二文字分空白)とかこれもまだ推敲中でまだ完成形ではないと推測できる。時間がなくて、一稿、二稿は読めなかったが、三稿から四稿もかなり大きな変更がある。本書で「ほんたうのさいわひ」を探しに行く意味、「蝎の火」の解釈と賢治作品(『よだか』、『二十六夜』に共通するテーマなどを丁寧に考察してわかりやすかった2023/09/16

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