出版社内容情報
鮮烈なイメージと豊かなストーリーで織りなされる30の連作短編集.順番に鏡のように映しだした話の最後が最初へとつながり,我々を意識の迷宮,不思議の宇宙へ誘う.『モモ』『はてしない物語』とならぶエンデの代表作.
内容説明
鮮烈なイメージと豊かなストーリーで織りなされる30の連作短編集。一つずつ順番に、前話をゆがんだ鏡像のように映しだし、最後の話が最初の話へとつながって、読者をめくるめく意識の迷宮へと導く。人間存在の神秘と不可思議さを映し出す鏡の世界の物語は、『モモ』『はてしない物語』とならぶ、エンデの代表作である。
著者等紹介
エンデ,ミヒャエル[エンデ,ミヒャエル][Ende,Michael]
1929-95年。南ドイツ・ガルミッシュ生まれ。小説家。43年頃から創作を始め、俳優学校卒業後、本格的作家活動に入る。著書は各国で訳出され、幅広い年齢層に支持されている。主な作品に『モモ』『はてしない物語』『ジム・ボタンの機関車大旅行』『ゴッゴローリ伝説』など。『エンデ全集』全19巻(岩波書店)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マエダ
112
この本を読むということからは読み手の調子や体調すら求められているような。読むのにすごいパワーをつかった。エンデは「意識の迷宮」といっている。鏡の中の鏡-迷宮とはいいタイトルでありその通りである。本当にすごい作品であるのは分かるが、言葉で表すととても抽象的になってしまい難しいがすごい作品である何かは伝わる。2016/05/20
えりか
56
永遠に音が反響する部屋、翼を持った男の自由への試練、雨の降り続く教室、鋼鉄マスクを被った女王、ミヒャエルとエンデの旅。夢のよう。前の話が次の話と呼応し、最後の話は最初の話へと戻る。合わせ鏡のような永遠。これらの物語で強く感じたのは「時間」。永遠とは時間の止まった世界。あるいは時間の経過を認識することのできない世界。または進むことも戻ることもできない世界。現実では時間は残酷に過ぎていく。その過ぎていく時間の中で迷い込んでしまった永遠の世界がここにある。夢から覚めたいのに、もう少しこの夢の中で溺れていたい。2016/10/02
優希
54
合わせ鏡のようにつながる連作短編集と言えるでしょう。美しい断片できらめいていました。大人の『はてしない物語』ですね。2023/01/24
優希
52
面白かったです。意味は考えないにしても、ひとつひとつの断片が美しいと思いました。最後に全てが集約していると言って良いのでしょうか。大人のための『はてしない物語』なのかもしれません。2022/09/25
藤月はな(灯れ松明の火)
46
お恥ずかしいことながら初めてのミヒャエル・エンデ作品。この本が凄いのは社会学や心理学の理論や問いが物語に組み込まれていることです。子供の頃に信じた善悪の基準や世界の見方は学校や社会に踏み出すと途端に塵よりも無意味のほうが多い。自分が注いだ愛情を相手も返してくれる訳でもなく、一時の同情は際限のない要求に答えられなくなり、自分の存在は大衆の中では代替のきく希薄な存在でしかないなどの容赦なくある事実を突き付け、物語のモチーフが合わせ重なるも裏返しのように見えて同等な合わせ鏡よりもメビウスの輪のような印象です。2012/05/29