出版社内容情報
日本語表現の不思議さと面白さにせまる。詩人や作家、歌人、俳人、ヒットソングの作詞家たちが、研ぎ澄まされた言語感覚のすべてを傾けて生み出した表現を、パズルのように解いてみる。言葉そのものが持つ奥行きを何重にも味わうための、日本語文法の入門書。より深く楽しむために、新たに二つの補説を加えた増補決定版。
【目次】
一 入門の入門―文法的思考ノススメ
1 ちょっと表現に立ち止まってみる
素朴さと表現としてのひねり
「ゆうゆうと」
「馬鹿に」
「としよりとこどもと」
2 「文法的思考」への誘い
文法的思考
一般化する・根拠を出す
「文法的思考」と「学校文法」
大切なのは「言葉」を意識化すること
二 格を欠くと、
1 はじめに
2 どういう関係?
「私だけ愛してた」
失禁するのは?
3 格助詞による意味の違い
「海へちる」と「海にちる」
「千円からお預かりします」
4 名詞の種類
「冬よ 僕に来い」
5 自他の対応
「扉が閉まります」
「落ちる」と「受かる」は大違い
自他の対応と責任
6 受け身と自動詞――「死ぬ」か「殺される」か
クラムボンの死
ぐりまの死
7 「受け身」の表現と目のつけどころ
「牧のわか馬耳ふかれけり」
「飲んで飲んで飲まれて飲んで」
8 おわりに
三 主語は主語が……
1 はじめに
2 「主語」というもの
「ぼくは だれそれが 好き」
アンパンマンは博愛主義者? それとも人気者?
「便所掃除」
「月が出た出た」と「出た出た月が」
主語と述語の対応
3 「は」と「が」
なぜ「は」「が」か
使われる場所による「は」「が」の使い分け
「生き残つた虫の一つは灯をめぐる」
「恋人がサンタクロース」
「私」と「は」「が」
「コレガ人間ナノデス」
4 「は」以外のとりたて
「こちらこそ申し訳ありません」
「本日は」か「本日も」か
夜も更けて参りました」
「とか」とか
5 おわりに
四 時にどきどき!
1 はじめに
2 状態と動きの表現
モーション俳句と静止画俳句
「動き」と「状態」の違いとは
「二時から三時まで遊んでいた」と「二時から三時まで遊んだ」
「アイスクリームがこぼれました」
「今」と「今現在」
「一つのメルヘン」
3 進行中だけではない「ている」
「ロンドン橋が落ちている」?
「ている」の可能性
4 「た」形が表すもの
「春が来た」
「彼はいい人だった」
「彼女はオーケストラ部の部長だった」のいろんな意味
5 「る」形が表すもの
「次は名古屋に停車するでしょう」?
「お金が百万ほど要る」
「日本人は米を食べます」
「あああ、むかむかする」
「言うこと」が