出版社内容情報
「民間の新嘗祭」と呼ばれる奥能登のアエノコト。稲作民族の原点を伝えるとされるその姿は、じつは、激変する戦後日本の中で柳田国男とその門下たちによって「発見」されたものだった。フィールドとテクストに働く政治と修辞を徹底的に読み解き、アエノコトを「二十世紀の物語」として再考する。(解説=佐藤健二)
内容説明
「民間の新嘗祭」と呼ばれる奥能登のアエノコト。稲作民族の原点を伝えるとされるその姿は、じつは激変する戦後日本の中で柳田国男とその門下たちによって「発見」されたものだった。フィールドとテクストに働く政治と修辞を徹底的に読み解き、アエノコトを「二十世紀の物語」として再考する。
目次
序章 奇妙な懸隔―柳田/民俗学というアポリア
第一章 闘争の場としての民俗文化財―宮本馨太郎と祝宮静の民俗資料保護(起源としてのアチック;「民俗資料」の独立;民俗資料緊急調査の波紋;民俗文化財研究協議会の軌跡)
第二章 あえのことのこと―小寺廉吉と四柳嘉孝の民俗調査(放浪の研究者―小寺廉吉の若山村調査;饗応の祭典―『歳時習俗語彙』から『山宮考』へ;分布と形態―四柳嘉孝と九学会連合能登調査;稲の産屋―「民間の新嘗祭」の誕生)
第三章 民俗と写真のあいだ―芳賀日出男と民俗写真(写真家の民俗/民俗学者の写真;演出の否定―柳田国男の写真観;六枚目の写真―野本家のアエノコト―『田の神』へ至る道―芳賀日出男のアエノコト)
第四章 農の心の現在―原田正彰とあえのこと保存会(国指定重要無形民俗文化財―保存会設立まで;埋め込まれる太陽神―原田正彰の記述と調査;観光化の「希望」と「挫折」―植物公園のアエノコト実演;能登を越える―江戸村と国立歴史民俗博物館;伝承する現在―梅勝二さんと中谷省一さん)
終章 エスノグラフィック ノ セカイ
著者等紹介
菊地暁[キクチアキラ]
1969年北海道生まれ。京都大学文学部卒業。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。京都大学人文科学研究所助教。民俗学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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