内容説明
二〇世紀前半のヨーロッパ激動の時代を生き、現代思想に大きな足跡を残したドイツの思想家ベンヤミン。その思想の根底には、ドイツ青年主義・ユダヤ神秘主義・シュルレアリスムなどがあり、右か左かという出来合いの選択を拒否した。破壊・収集・記憶を武器とし、先進的でアクチュアリティを追求した思想家の、放浪・亡命・自死へと至る波瀾の生涯に、長年フランクフルト学派を研究してきた著者がせまる。
目次
第1章 ベルリンの幼年時代
第2章 精神の反抗
第3章 言語と神学への沈潜
第4章 法、神話、希望
第5章 アレゴリーとメランコリー
第6章 ベンヤミンの方法
第7章 評論家ベンヤミン―ヴァイマールの坩堝のなかで
第8章 亡命とパサージュ
著者等紹介
三島憲一[ミシマケンイチ]
1942年東京生まれ。東京大学人文科学系大学院博士課程中退。専攻は社会哲学、ドイツ思想史。大阪大学教授、東京経済大学教授などを歴任。大阪大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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踊る猫
23
ベンヤミンの人間臭さがよく現れていると思う。女好き、貧乏、感情的な行動。そんなベンヤミンにアプローチした「人間学」の本として、面白く読める。だが、ここに新しいベンヤミン解釈があるかというと、やや難しいか? 百貨店とカルチュラル・スタディーズの批評家として収まっているベンヤミンの凶暴な点をもっとえぐり出す試みをしてもよかったのではないかと思う。良かれ悪しかれ「チャート」というか「見取り図」をトレースすることに腐心して、面白くない。ただ、そういうないものねだりをしてしまうのは本書のレベルが高いからなので、為念2020/04/04
くるみ瑠璃
1
著者の書き方にいあからさまな独断がいくらか入っていて、それが気持ち悪い以外は概略や歴史との関連を把握できるいい本だったのかなと2023/06/02
ミスター
1
外れ。伝記的事実はためになったが、私が興味を持っているのはマルクス主義者としてのベンヤミンであって、ユダヤ教徒ベンヤミンではない。そもそも三島はマルクス主義をよく理解していないよう見える。ユダヤ神秘主義について興味ある方にはオススメだが、それ以外の人間が呼んでも面白くないだろう。2019/08/11