岩波現代文庫
平面論―一八八〇年代西欧

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 256p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006003784
  • NDC分類 702.06
  • Cコード C0195

出版社内容情報

白紙に残された表象の痕跡、絵画の二次元、スクリーンに投射される光の運動……。様々な芸術ジャンルを横断しつつ,20世紀の思考風景を決定した表象空間の政治学を明るみに出すチャレンジングな論考。解説、島田雅彦氏。

内容説明

近代的イメージは、いつ、いかにして出現したのか―。一八八〇年代以後の西欧に出現した映画、ファシズム、精神分析という「イメージ」の政治にかかわる二〇世紀的な「装置」を手掛かりに、絵画の二次元やスクリーンに投射される光の運動などの、前世紀の表象空間の特質を明るみに出す。

目次

表象空間の地滑り
1(「蝟集空間」;「無人空間」;“像”と“貌”;「現実的なるもの」をめぐって)
2(“枠”あるいは「イメージ」の自意識;鋳型・骰子・ページ;辱められた黄金;“面”あるいは「イメージ」の「場なき場」)
3(“面”から“幕”へ;時間の断面;鏡と幽霊;“幕”あるいは反=ナルシスの装置)
「平面」と「近代」

著者等紹介

松浦寿輝[マツウラヒサキ]
1954年東京生まれ。作家・詩人・仏文学者・批評家。東京大学名誉教授。東京大学大学院仏語仏文学専攻修士課程修了。パリ第3大学にて博士号(文学)を、東京大学にて博士号(学術)を取得。詩集に『冬の本』(高見順賞)、『吃水都市』(萩原朔太郎賞)、『afterward』(鮎川信夫賞)、小説に『花腐し』(芥川龍之介賞)、『半島』(読売文学賞)、『名誉と恍惚』(谷崎潤一郎賞)、エッセー・評論に『折口信夫論』(三島由紀夫賞)、『エッフェル塔試論』(吉田秀和賞)、『知の庭園 一九世紀パリの空間装置』(芸術選奨文部大臣賞)、『明治の表象空間』(毎日芸術賞特別賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

gorgeanalogue

4
まあまあ面白かったけど、この「像」と「貌」の対立のドラマという(フランス文学者的な)舞台装置そのものが、もう古びてしまっているというのは否めないところだろう。「投射」の観念の位置づけがもう一つうまくいっていないんじゃないかということに加えて、「イメージ」の変貌とともになったというところの「近代」の「イメージ」がもう少し説得的でない。それにしても、著者本人の文庫本あとがきのボヤキはともかく、解説の島田雅彦はこんなボンヨー(それ以前にすら思える)なこと書いていていいの?2018/12/18

古義人

3
松浦寿輝によるおフランス式表象文化論入門といった本。表象の性質やそれを成り立たせる基底への意識の向け方など、かなりわかりやすく書かれてあるという印象。像と貌、蝟集空間と無人空間といった二項対立の周りを旋回し続ける叙述スタイルといい、『失われた時を求めて』が参照されるのも松浦の敬愛するバルト(『明るい部屋』)的である。というかこの対立自体ストゥディウム/プンクトゥムの拡張ではないか。2020/10/02

きくらげ

3
既存の学術分野からは距離を取りつつ、近代におけるイメージ体験がいかなる様相を呈するかに迫る論考。イメージは近代において芸術家や共同体のようなだれかの所有物ではなくなり、亡霊のように漂う匿名の存在となって我々を統御するようになった。表象するものは、世界という全体を記号というないもので表す、不可能性を孕む行為を担うがゆえに、特権的な座に位置し、イメージの成立基盤を与える「枠」への自意識を異常なまでに活性化する。2018/06/19

岡部淳太郎

1
同じ著者の『エッフェル塔試論』よりかはかなり硬い。というか、後記で著者も懸念しているように、観念的なものとして読まれうる危険性もあるが、自分としてはそれなりに面白く読めた。なんだかんだ言ってこの人の書くものは好きだということをあらためて実感。2019/02/03

シン

0
重さと軽さ、独特の質量を感じさせる本。読むことは目で触れる体験だった。2025/04/22

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/12723651
  • ご注意事項

最近チェックした商品