岩波現代文庫
中国再考―その領域・民族・文化

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  • サイズ 文庫判/ページ数 160,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006003098
  • NDC分類 222.004
  • Cコード C0122

内容説明

古代中国の天下観はいかにして現代中国の世界観へと転化したのか。伝統中国の領域はいかにして現代中国の国境となったのか。中国文化は漢族の文化なのか、複数の文化なのか。中国は西側諸国と文化衝突を起こすのか、国際平和と地域の安定を導くのか。歴史を考察して得られる理性によって民族主義的情緒を批判し、他国民と敬意をもって共存し、尊重しあう道を探る。岩波現代文庫オリジナル版。

目次

序章 「中国」の歴史的成り立ちとアイデンティティの混迷
第1章 世界観―古代中国の「天下」から現代世界の「万国」へ
第2章 国境―「中国」の領域についての議論
第3章 歴史―長期的に中国文化を考える
第4章 周辺―十六、十七世紀以来の中国、朝鮮、日本の相互認識
第5章 現実―中国と西側の文化の相違は衝突に到るか

著者等紹介

葛兆光[カツチョウコウ]
1950年上海市生まれ(原籍福建省)。北京大学卒業。上海の復旦大学文史研究院院長。中国古代思想・宗教史を専攻。京都大学、東京大学、ハーヴァード大学などで研究、国際的に活躍している

辻康吾[ツジコウゴ]
1934年東京生まれ。東京外国語大学中国語学科、立教大学法学部卒業。毎日新聞記者、東海大学・獨協大学教授を歴任。中国現代資料研究会代表

永田小絵[ナガタサエ]
獨協大学国際教養学部准教授。通訳翻訳理論専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さとうしん

8
内藤湖南以来の唐宋変革論を受け入れつつも、戦前の日本の「支那は国家ではない」というような議論を批判し、中国は特殊な国家であるとしつつも、古代の中国の領土を現代に再現しようとするような態度を批判するといった具合に、複雑な立場からの議論となっている。現在の中国の学界での歴史学の議論の中心は「領域」「エスニックグループ」「宗教」「国家」「アイデンティティ」等ということであり、日本の「支那論」などがのさばる隙はもうないようである。2017/01/08

とんこつ

7
体制から距離をとった冷静な議論が展開されている印象をまず受けた。「中国」と一言でいっても、漢族と異民族の王朝が交互に立ち上がってきた歴史があり、何をもって「中国」を定義づけるのかは極めて難しい。ただ、少なくとも、純粋な漢民族の文化だけが、中国を指すのではないと言うことはできる。各王朝の記憶が多層的に重なり作り上げたのが中国文化であり、筆者は中国国内の安易な国学ブームへ警鐘をならす。また西洋との国家観の違いについて、西洋は民族を基準に、中国は文化を基準に、国家の内と外を分けていたという認識が印象に残った。2019/07/16

mirie0908

2
伊勢さん紹介で知り古書探し購入。コンパクトにまとまっていて的確な解説。10年前の本だが中国のいろいろな話題や問題の今まさに読むべき本。勉強になった。2023/04/27

ちゃこ

2
【目次 1】<日本の読者へ>/ <序章 「中国」の歴史的成り立ちとアイデンティティの混迷> 一.「中国」という言葉の解釈がなぜ問題になるのか?また「中国」という存在にどんな問題があるのか? /二.「中国」への疑問─歴史研究における新理論と方法の示唆と挑戦 /三.歴史・文化・政治的中国─「中国」の西洋近代民族国家理論への挑戦─ /四.東アジア史は成立するのか─各国史にはなお意味があるのか /結び. 歴史、文化、政治の異なる次元での「中国」と「中国史」理解/2014/03/30

kure

1
中国と「周辺」の間の関係には大きな関心を向けつつも、中原から見れば「周縁」とも言える台湾における本土主義的な歴史記述には批判的であるように、中国文化の多様性を認めていながらも、中国文化の「典型的」な点を強調し、それを標準化している。西洋や日本などの「他者」と「中国」の関係について論じる前に、中国の「多元一体構造」(費孝通)の実態がどのようなものであるのかという考察が今日では必要なのではないかと感じた。2021/04/04

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