内容説明
コロンブスの「発見」事業は、奴隷制と砂糖プランテーションに道を開くが、アメリカ独立革命とハイチ革命がそれらを崩しはじめる。分冊(2)は、奴隷解放後のカリブ海域の民衆、同地域を自国の「地中海」としてゆく砂糖王国アメリカの政策、それに正面から挑戦したカストロ革命、同地域のゆくえなどを主題とする。
目次
カリブ海域における奴隷制の廃止
自由な労働の試練
アジア系移民
一九世紀西インド諸島の砂糖経済
世界砂糖市場の争奪戦
一九世紀の植民地主義
「明白な天命」
アメリカの地中海
砂糖王国アメリカ
二〇世紀の植民地主義
植民地の独立運動
カストロ主義
カリブ海地方のゆくえ
著者等紹介
ウィリアムズ,E.[ウィリアムズ,E.] [Williams,Eric]
1911年、イギリスの植民地下にあったトリニダード島に生まれ、オックスフォード大学にすすむ。1939年から合衆国に滞在し、48年帰国。56年政党PNM(People’s National Movement)を組織し、同年首相となる(~81年)。62年トリニダード・トバゴ共和国として独立。81年没
川北稔[カワキタミノル]
1940年生まれ。大阪大学名誉教授。イギリス近代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゲオルギオ・ハーン
13
冒頭から奴隷制について取り上げられている。Ⅰ巻では砂糖生産に必要不可欠とされたが、砂糖貿易が世界的なものになり、砂糖の価格が下がってくるとただ労働力を増やしていくだけのプランテーションは採算の悪さが目立っていく。欧州では産業革命が進むなか、カリブ海は昔ながらの生産手法に拘っているため生産性は低いまま。トドメはアメリカ資本がカリブ海に機械化された工場を建設していくと桁違いの生産力により市場での存在感をなくしていく。近代化しない場合の生産力の対比が出ていてこれだけでも読んでいて面白かった。2020/09/23
Toshiaki Konishi
1
産業革命への道は、黒人奴隷が舗装していた。 三角貿易の延長線上に今の世界があると考えると得心することが多い。 移民政策がどの様な国を作るのか、そして砂糖の魅力がが歴史を通して分かる。2014/07/20