出版社内容情報
女性も兵士となる権利をえるのが「平等」か,自爆テロや連合赤軍事件にかかわった女たちの立ち位置とは──.大義のために生きることは,しばしば反転して「死ぬための思想」として機能してきた.しかし,弱者が弱者のままに生きられる思想をこそ紡ぐべきではないか.東日本
内容説明
大義のために生きること、それはしばしば反転して「死ぬための思想」として機能してきた。女性も兵士となる権利をえるのが「平等」か、自爆テロや連合赤軍事件にかかわった女たちはどんな力学の中にいたのか―。「逃げよ、生き延びよ」と、弱者が弱者のままに生きられる社会のためのメッセージをこめた論考群。東日本大震災後の東京大学最終講義等も収録した新版。
目次
はじめに あげた手をおろす
1 女性兵士という問題系
2 戦争の犯罪化
3 ナショナリズムを超える思想
4 「祈り」に代わるもの
5 3・11の後に
著者等紹介
上野千鶴子[ウエノチズコ]
1948年、富山県に生まれる。1977年、京都大学大学院社会学博士課程修了。現在、ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長、東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ネギっ子gen
57
大義のために生きること、それは反転し「死ぬための思想」として機能する。「逃げよ、生き延びよ」と、“弱者が弱者のままに”生きられる社会を目指す論考群。東京大学最終講義も収録した新版。「はじめに」で記す。<男と一緒に、破壊と破滅への道を歩むのか?それとも男の暴力を――否定できないまでも――生き延びるのか? 元「慰安婦」の被害者やDVの経験者に与えられた「生還者(サバイバー)」という呼び名を、文字通りの意味で反芻する。そして、フェミニズムとは、世界の悲惨を「生き延びる」思想であったことを、改めて確認する>と。⇒2023/07/11
おたま
51
この時期の著者自身のフェミニズムに関わっての論点の総括と、今後の展望までも含めた論文集。1990年代の湾岸戦争の折、フェミニズム側から、機会の平等のために兵士となることを求め、逆に保守層から女性が兵士になることを否定する声があがったという。上野千鶴子は、果たして女性が男性と同様の「力」を持つことがフェミニズムの求めることかという問いをスタートさせる。さらに国家、社会の外部(戦争)と内部(家庭内でのDV等)の暴力があること。過去において女性もまた戦争(国防婦人会)やテロ(連合赤軍等)に関わっており、⇒2025/07/09
i-miya
47
2013.02.19(初読)上野千鶴子著。 2013.02.19 (カバー) 大義のために生きる事、それはしばしば反転して、「死ぬための思想」として機能してきた。 女性も兵士となる権利を得るのが「平等」か、自爆テロや、連合赤軍事件にかかわった女たちは、どんな力学の中にいたのか。 弱者が弱者のまま生きられる社会のためのメッセージ、東大最終講義を収録。 2013/02/20
i-miya
44
2013.03.09(つづき)上野千鶴子著。 2013.03.06 家庭内暴力の実質的非犯罪化、行政権力。 虐待というテロの暴力に介入してこなかった行政権力。彼らはその慣行によってDVを非犯罪化してきた。 「口で言ってもわからければ、殴るのも蹴るのもしつけのうち」というDV男の言い分がある、それがとおる。 9.公私領域の再編成。 2013/03/09
i-miya
44
2013.02.28(つづき)上野千鶴子著。 2013.02.27 人権は、普遍的かと問うフランス女性。 トリッキーでダブルバインド名な質問だった。 樋口陽一の答え、「イエスでもあり、ノーでもある。人権は確かにフランスが生んだ歴史概念だが、それを超えて普遍化されている」 私ならこう答えた、「人権は、特殊フランスの概念だ、それが普遍性を僭称しながら、その実、普遍性を獲得していないのは、あなた方西欧が人権を独占しているからこそだ」 2013/02/28
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