岩波現代文庫
偉大な記憶力の物語―ある記憶術者の精神生活

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  • サイズ 文庫判/ページ数 221p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006002428
  • NDC分類 141.34
  • Cコード C0111

内容説明

人並みはずれた鮮明な直観像と、特有の共感覚をもつその男は、忘却を知らなかった。電話番号を舌で感じ、コトバの音から対象の意味を理解する。想像によって手の温度を変える。直観像を利用して課題を鮮やかに解決する一方で、抽象的な文や詩の理解はひどく困難。特異に発達した記憶力は、男の内面世界や他者との関わりに何をもたらしたのか。

目次

意図
ことの発端
彼の記憶力
彼の世界
彼の知力
彼の「意志」
彼の人格
将来への見解

著者等紹介

ルリヤ,アレクサンドル・ロマノヴィチ[ルリヤ,アレクサンドルロマノヴィチ][Luria,Aleksandr Romanovich]
1902‐77年。カザン生まれ。カザン大学を卒業後、モスクワ大学心理学研究所に室長として勤務していた折にヴィゴツキーと出会い、ヴィゴツキー、レオンチェフとともに高次精神機能の文化・歴史的理論を創設した。その過程で、モスクワ第一医科大学に入学し、失語症に関する研究を始め、学位を取得。長年の失語症研究を基礎に、心理学の新しい分野である精神心理学を切り開いた。1945年より、モスクワ大学教授として、研究・教育の両面で広範な分野にわたって活躍した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やいっち

73
「直観像と共感覚をもつその男は,忘却を知らなかった.電話番号を舌で感じ,コトバの音から対象の意味を理解する.想像によって手の体温を変える.直観像を利用して課題を鮮やかに解決する一方で,抽象的な文や詩の理解はひどく困難.特異に発達した記憶力は,男の内面世界や他者との関わりに何をもたらしたのか」といった内容。2022/11/11

ユメ

47
特殊な記憶力を持った男シィーに、数十年にわたって心理学的アプローチを続けた記録。色聴はよく知られているが、彼は視覚・味覚・触覚を伴う更に複雑な共感覚を持つ。この研究の目的はシィーの能力を解き明かすことだけでなく、それが彼の人格にどのような影響を及ぼしたかという点にある。一語一語に結び付いた視覚像を持つシィーと私では、そもそも世界の捉え方が異なるのか。シィーが自分の知覚について説明する言葉を懸命に追っても、彼の見ている景色を「想像」しようとすると混乱する。こんな能力を持っていたら、私はきっと私ではなかった。2015/07/16

原玉幸子

19
読み始めは「SF小説? どんな展開になるのだろう」とワクワクしたのですが、実は、医学博士の表題の人物に関する真面目な報告書で、不思議な読み物でした。私は、自身が何故か覚えている過去の映像記憶、漫画『コブラ』の視覚と聴覚が入れ替わる話、そしてスポーツでのゾーン体験等々の事象を面白いと思っていて凄い興味があり、それらに親和性があり、似ている「共感覚者」を題材に創作したいと考えています。それがそのまま、まぁ直球ど真ん中で、面白くない訳がない本でした。小説にも出来るんじゃねぇ?(◎2022年・冬)2023/01/23

やいっち

14
本書で扱われている<患者>は、上記したように、「人並みはずれた鮮明な直観像と、特有の共感覚をもつその男は、忘却を知ら」いだけじゃなく、ごくありふれた文章も、一つ一つの言葉に過去に見た記憶(の像)が出しゃばって、どんどん、言葉が勝手に突っ走り、情景が今の光景を圧倒し、ついには、何を読んでいるかすら分からなくなってしまう。  共感覚の世界を扱う本はいろいろあるが、その感覚の世界は凡人には想像をはるかに超えて、そうしたセンスの持ち主の苦労など分かろうはずもない。2016/06/22

還暦院erk

8
図書館本。読了まで時間がかかった。突出した記憶力と想像力を持つシィーの特異な記憶と想起についての記述がイメージしにくかったのと、pp122-136の「算数問題」を自分でいちいち(古典的な方法で)解いてシィーさんの解き方と比べたりしてたからだ。「いくらでも覚えられてしかも忘れない」というのは良いことばかりではないみたいだが…。物語や詩の理解に支障をきたすというのも、なかなかに難しかった。さらに、奥さんや子供への詳しいインタビューを研究材料にしてほしかったかも。2017/07/18

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