内容説明
東京大学法学部で政治史・外交史を講じた岡義武が一九五五年に岩波全書の一冊として著した名著。長く絶版となっていたものを、読みやすい表記に変えて復刊する。国際政治の推移を現象的に記述するのではなく、その構造の歴史的変化を描き出した画期的な内容は、今も必読の古典として生きている。
目次
第1章 ヨーロッパにおける国際社会の成立
第2章 絶対王政期ヨーロッパと世界
第3章 市民的政治体制形成期のヨーロッパと世界
第4章 市民的政治体制発展期の世界政治
第5章 市民的政治体制動揺期の世界政治
第6章 世界政治の現段階
著者等紹介
岡義武[オカヨシタケ]
1902‐1990年。東京大学名誉教授。東京大学法学部で日本政治外交史やヨーロッパ政治史を講義した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coolflat
15
17世紀絶対主義の時代から1950年代前半の冷戦初期に至るまでの主にヨーロッパを中心とした歴史。最初に絶対主義時代を解説(主権国家体制、勢力均衡思想、大英帝国)し、フランス革命以降を大まかに三つの区分に分け詳述している。第一は「市民的政治体制形成期」。18世紀末期から19世紀前半までのフランス革命からウィーン体制崩壊に至る時期。第二は「市民的政治体制発展期」。19世紀後半から始まる帝国主義時代。第三は「市民的政治体制動揺期」。第一次世界大戦から第二次世界大戦、そして冷戦の幕開けとなる1950年代前半まで。2017/08/27
toriarii
4
古典、ヨーロッパ近代~現代初期まで取り扱った本。300ページ以内で近現代の外交の概要を学べるという数少ない作品 日本の高校生、大学生だと無視されがちな戦間期のソ連干渉戦争とソ連政府のポーランド侵攻、「ヨーロッパ列強」の外交政策の解説をしっかりしてくれているところが良い。この本の解説のおかけでを独ソ不可侵条約を結んだ理由を理解することができた。2013/03/28
リム子
3
〈序〉にも〈解説〉にも書いてあるが、本書は国家や外交では国益こそ追及されるものだという前提、すなわちリアリズムの観点から離れ、内政と外交には相互連関があるという前提から語られた国際政治史の書籍。所々に地政学的な観点からの記述もみられた。全体としてよくまとまっていてかつ説明がしっかりしていたので満足。2014/09/05
かじやん0514
3
近代以降のヨーロッパを中心とする国際政治史の古典であり、スタンダードをつくったのだなと思った本。高校世界史の教科書の記述も、これをだいぶベースにしている感じ。2013/11/29
馬咲
2
国際政治が実質的にヨーロッパ諸国の会議のみで完結していた時代から、それが文字通りの「世界政治」的性格のものへと変わっていく過程を、内政と外交の相互作用を重視した視点で叙述。著者の他書同様、註が本文の補足に留まらない充実ぶりで、所々に本文の基礎を成す著者の慧眼が示されていて重要。各国が「安全security」という観点から絶えず膨張と抑制の間でせめぎ合う国際政治の姿、内政と国際政治の連関から見えるファシズムの本質、国際政治の多極化を決定づけた日本帝国主義の歴史的重要性等々、本書の指摘の数々は未だ色褪せない。2024/02/10
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