内容説明
律令国家解体ののちに生まれた王朝国家、そして東国鎌倉に新たに生まれた武家政権。これらの様態を中世国家の二つの型ととらえ、内部矛盾を抱えつつ対立・抵抗した複雑な経過を追う。建武新政に至る歴史の流れに即して、日本中世国家の構造と特質を明瞭に説き明かし、中世史研究の新段階を拓いた著作。
目次
序章 律令国家について
第1章 王朝国家(令外の官;官司請負制;職と家業)
第2章 鎌倉幕府(成立過程と構造上の問題;執権制;得宗専制)
第3章 王朝国家の反応(王朝の復興;建武新政)
著者等紹介
佐藤進一[サトウシンイチ]
1916年、新潟県生まれ。日本史学者。39年、東京帝国大学文学部国史学科卒業。東京大学史料編纂所勤務ののち、東京大学、名古屋大学、中央大学等で教鞭をとる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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iwasabi47
4
『足利直義』の「三条殿」理解の為に再読。P.135-140所領新恩・安堵の権能は将軍から執権へ移行する記事を再読して理解が進んだ気分になる。他の方も評していたが、理路整然とした文章は読んでいて気持ちがいい。2016/12/14
Ikkoku-Kan Is Forever..!!
3
御恩と奉公。御家人が将軍に対して忠誠を尽くす限り、御家人の権益を無条件に安堵する、これが将軍に求められた主従性的支配。しかし、御家人同士の利害対立が発生した場合、これを裁くためには当事者間の利害に対して中立な立場が求められるため、理非による統治権的支配は、主従関係という原初形態を体現する将軍の立場とはなじまない。そこで、御家人に対する保護義務の外にあって、御家人間の利害を調整する機能として求められたのが執権政治であり、その展開は、訴訟に関する法制度の確立(御成敗式目や評定制、引付設置)を必然的に伴ったと。2020/01/04
Ikkoku-Kan Is Forever..!!
2
教養としての日本史学習シリーズ。「高校卒業程度」の基礎学力を身につけようとすれば、スタンダードなのはやはり東大の過去問だろうが、解こうとすれば専用のバイブルを通覧・熟読する必要がある。受験生の場合は山川の教科書がそれにあたるが、私は受験生ではない(そもそも高校生ではない)し、教科書は面白くないので、佐藤進一・石井進・五味文彦といった東大中世史の正統学問の学習から始めることに。まずは中世国家論の基本中の基本、佐藤進一『日本の中世国家』から読む。ちょっと寄り道してから『日本中世史論集』も読む。名著再発見の旅。2016/12/29
チョク
1
日本中世史を勉強する人は絶対読むだろうこの本。 律令制国家の解体と王朝国家の成立までの過程、そしてそれまでの日本中世史概念の通説であった「権門体制論」に対して、幕府は、朝廷とは独立した行政権をもった、もうひとつの国家であるという、「東国国家論」を提示した本。 久しぶりに読んだら楽しかった。こんなのも今年は読んでいきたい。2013/01/04
Shinichirou Kanamaru
0
9Cに入り律令的支配体制の維持が困難になり、12Cには王朝国家体制に移行する。王朝国家は、地方支配を国司へ大幅委任し、郡司・郷司の請負方式へと変化する。また、中央官庁に蔵人所、検非違使といった令外の官が現れ、特定の氏族による官司請負制が生まれる。それより半世紀遅れて、新興の領主武士集団を支配者とする政権が東国に誕生する。これが中世国家の第2の形である。最初鎌倉幕府は、王朝国家と併存し相互不関与、自立の関係をとっていたが、次第に王朝権力を吸収し、統一権力を追求するようになる。2014/02/23




