内容説明
この本の主題である生物多様性ほど、今日人類に差し迫った科学的問題を想像することはできない。生物多様性は進化の中でどのように育まれてきたのか。なぜ人類にとって決定的な意味をもつのか。どうすれば守ることができるのか。ウィルソン博士は豊富な体験と驚嘆すべき博識にもとづいて情熱的に説きあかしていく。「生物多様性」を地球環境問題のキーワードにした名著。
目次
荒々しい自然、立ち直りの早い生命(アマゾンを襲う嵐;クラカタウ島;大絶滅)
増えてゆく生物多様性(基本的単位;新しい種;進化をもたらす力;適応放散;未踏査の生物圏;生態系の創造;ピークに達した生物多様性)
著者等紹介
ウィルソン,エドワード・O.[ウィルソン,エドワードO.][Wilson,Edward O.]
1929年生れ。ハーバード大学教授。専門は社会性昆虫。有名な社会生物学論争を巻き起こした
大貫昌子[オオヌキマサコ]
1932年生れ。翻訳家
牧野俊一[マキノシュンイチ]
1955年生れ。独立行政法人森林総合研究所森林昆虫研究領域長
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
46
"生物多様性"の言葉を最初に用いた著者による古典として名高い。生物多様性が生物学的に丁寧に定義されその意義が説かれる教科書的な著作であるが、それ以上のものがある。アマゾンの熱帯林での稀有な嵐の体験を導入部とし(生物学者や地質学者のフィールドの話はいつも面白い)、生命史において生物の種がいかに多様化へと進化し(ダーウィンの具体的な実践編という感じ)、人類誕生時には多様化の頂点に達したか、めくるめく豊潤な生物の世界が描かれるまでが上巻。下巻は人類以降の話で、生物多様性の破壊だろうから読むのがちょっと辛い。2016/07/22
Francis
13
10年以上も積んどくしていた本。読んでみるととても面白かった。生物多様性についての本で、自然とはこんなに複雑で豊かなものだったことが再認識できた。最近カーツワイルが人工知能などの発達でシンギュラリティが来るなんて言っているが、こんなに豊かな自然の全てを把握できそうもないのに、よくそんなことが言えるよね、と懐疑的な気持ちになった。2017/04/15
うえ
4
「地球の陸上表面の大部分には、プランクトンとなったバクテリア、菌類の胞子、小さな種子、昆虫、クモ…が絶えず雨のように降り注いでいる…何週間何か月のうちには莫大な数にのぼる。焼き尽くされ、灰に覆われて窒息したクラカタウ島の名残の島に移入した種は、ほとんどがこうやってたどりついた」「科学史の法則の第一は、強大な新しいアイデアが提唱されるとまもなく大勢の批判者が団結してこれをやっつけようとすることだ。このような反応は決して避けることができない…第二は新しいアイデア…は母なる地球と同じにいくつか厳しい衝撃を被る」2015/08/29
鼻
2
生物多様性について考えるなら、必読書だと思います。「多様性ってなに?」「どうやって出来んの?」「なんの役に立つの?」という疑問に対する、生物学からの回答。 豊かな表現力で読みやすい文章。一般向けの本なので気軽に手に取って欲しい一冊。 2012/10/29
かーも
1
生物多様性biodiversityの概念を世界に知らしめた名著。生命の進化と生物多様性のつながりが、明快かつ説得的に展開されており、読者をロマンの満ちあふれた生物多様性の世界にいざなってくれる。 ちなみに、昆虫がいなかったら、世界はこれほど豊かな世界とはならなかった、という筆者の指摘には、はっとさせられるものがあった。2012/06/06
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