出版社内容情報
仏典が時空を超えて,現代人の心の悩みに呼びかけてやまないのはなぜか.碩学が仏教の社会思想の全体像をわかりやすく説き,混迷する現代の緊急の課題に仏教の教えはどう応えるかを解明しようとした「仏典のエッセンス」.
内容説明
仏典が時空を超えて、現代人の心の悩みに呼びかけてやまないのはなぜか。本書は碩学が経済倫理、政治倫理、人生の指針など仏教の社会思想の全体像をわかりやすく説き、混迷する現代の緊急の課題に仏教の教えはどう応えるかを解明しようとした「仏典のエッセンス」である。
目次
仏法と人間―プロローグ(無常変遷のうちに道理を見る;道理を見るとは自己を実現すること)
1 経済的行為の意義―仏教と経済倫理(禁欲的精励の精神;施与の道徳 ほか)
2 政治に対する批判―仏教と政治倫理(現代の荒廃を予言する;「サンガ」の建設と理想的国家 ほか)
3 理想社会をめざして―人生の指針(慈悲と奉仕のこころ;万人の友となる ほか)
著者等紹介
中村元[ナカムラハジメ]
1912‐1999年。島根県に生まれる。東京大学文学部印度哲学梵文学科卒業。インド哲学、仏教学専攻。東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを歴任。文化勲章受章、学士院会員
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感想・レビュー
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KAKAPO
25
「永い年月にわたって仏教の研究に打ち込んできた人間として、なにか後世に言いのこしたことがありはしないか、」と問われたからでしょうか、常に仏典について客観的な分析をされてこられた中村元先生らしくないと思うほど、ご自身のお考えを明確に述べていらっしゃいます。もちろんそれは、研究成果について自説を語るということではなく、仏教の教えを、現代社会が抱える問題を解決するために活かすとしたら、という視点です。誰もが、いずれは自分も死ぬのだと事実を直視した時に、慈悲の心が芽生え争いがなくなるのではないか、という期待です。2019/03/10
roughfractus02
6
歴史を経て現代に及ぶ仏典から現代を見据える本書は経済、政治、理想社会の3部をテーマとする。貨幣流通を仏教の布施に見る著者は、仏典が貨幣の魔術性を意識し、商業カーストの支持や他の共同体との交換から時間を経て物質化する過程を記述している点を歴史的視座で平静に語り、時間を肯定する仏教の本質を示す。加えて政治倫理での賞罰についても「寛刑主義」を採る仏教が時間という罰を設ける点が強調される。このような時間を無化する現代の傾向を批判する本書は、各共同体の文化伝統を維持する多様な社会をコスモポリタニズムと慈悲から説く。2021/04/02
白義
6
著者が実業界向けに25もの仏典から現代社会にも通じる社会思想を抽出してそのエッセンスを平易に語った講演の書籍化。それと同時に、中村元の現代に対する肉声が色濃く出た本でもある。富を蓄積することを禁止せず、むしろ他者への施与のために経済活動を肯定した原始仏教は初期資本主義的な経済思想を持っていた、と述べるのが興味深く、そこからインドに資本主義が誕生せず西洋で最初に誕生した理由の考察もなかなか納得できるもの。政治思想においては、敵軍にすら無抵抗な王を賞賛するレベルの非暴力平和主義、人倫(法)による統治の強調など2017/11/19
オザマチ
2
タイトルから硬い印象を受けますが、内容はとても読みやすかったです。2012/05/22
i-miya
2
人と業績 前田專學 父、中村喜代治 保険の計算 四国、讃岐の出身 五大投地の礼を5回 H16.05.07 国際文化教育交流財団 いろは歌 「この無常のことわりを通じて永遠不変なるものを見よ」 永遠、不変なるもの =ダルマ =法または道 法・・・人間にとって至上のもの ダルマ=保つもの =人を人として保つもの =人間の真理 ゆえに仏教のことを「仏法」という 法・・・神々の権威、仏の権威よりも上に位する 如来が世に出ようと、出まいと この法の本性は定まったもの 民族 時代2008/01/08