岩波現代文庫
社会思想の歴史―ヘーゲル・マルクス・ウェーバー

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  • サイズ 文庫判/ページ数 241,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006000899
  • NDC分類 309.02
  • Cコード C0110

出版社内容情報

ヘーゲルの市民社会論・国家論,マルクスの唯物史観,ウェーバーの宗教社会学,フロイトの精神分析学を柱に据えて,西洋近代思想史の本流を大きくとらえる.簡潔で平明な叙述により初学者のための入門書として最適.

内容説明

ヘーゲルの市民社会論・国家論を、マルクスはどう克服して唯物史観を確立したのか。それに対して、「合理化」を基本視角にすえたウェーバーの宗教社会学、無意識の世界を探索したフロイトの精神分析学はどのように関わり独自の光を投げかけたのか。西洋近代思想史の本流を大きくとらえた、簡潔で平明な叙述による初学者のための恰好の入門書。

目次

「社会」の発見
ロックとルソー―自然法と社会契約
カント―市民社会と世界市民
ドイツ・ロマン主義―有機体的国家観
ヘーゲル(市民社会と国家;弁証法と歴史)
ヘーゲルからマルクスへ―ヘーゲル学派の分裂
マルクス(ヘーゲル哲学批判;疎外された労働;唯物史観)
テンニエス―ゲマインシャフトとゲゼルシャフト
ウェーバー(宗教社会学の視角;資本主義の「精神」;近代の運命としての合理化)
マルクスとウェーバー―物質的利害と理念
フロイト(意識と無意識のダイナミズム;文化の居心地わるさ)
マルクスとフロイト―社会と無意識
現代社会思想の問題

著者等紹介

生松敬三[イキマツケイゾウ]
1928‐84年。東京大学文学部哲学科卒業。同大学院修了。71‐84年中央大学教授。思想史・文化史・哲学専攻
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

無重力蜜柑

9
社会や国家についての思想史。扱っている内容や思想家はオーソドックスだが、時代ごとの展開や対比が明瞭に論じられているので見取り図として優秀。内容は→ホッブズ、ロック、ルソー、カント、ドイツ・ロマン主義、ヘーゲル、フォイエルバッハ、マルクス、テンニエス、ウェーバー、フロイト、マルクーゼ。……68年の本だけあって中身はマルクス。ヘーゲルまでは「社会と国家」の関係の話。史的観念論であるヘーゲルと非史的唯物論であるフォイエルバッハからマルクスの史的唯物論を見る。ウェーバーとフロイトはマルクスとの対比。2022/08/28

きさらぎ

5
2002年出版。解説は本書の底本が出版された1968年を「近代への懐疑を深く潜めながら、やはり知的衝動力は近代から得ていた、知的緊張に貫かれた時代」と評し、その知的緊張の中で生まれた名著だという。著者がウェーバー、フロイトに「知的廉直」という表現を用いたのが印象的だ。ロックとルソー、カント、ドイツロマン主義を経てヘーゲルへ、そしてマルクスの唯物史観とそれに対峙するウェーバー、フロイト。丹念かつ簡潔に辿られる近代社会思想史は、近代という時代の容赦ない現実とそれと正面から対峙した知性たちの格闘の軌跡だと判る。2016/01/14

shibaba

5
興味深かったのがマルクーゼのところ。フロイトは労働が快楽衝動を抑圧するものとしてあるとし、人間が社会組織のひとつの道具になっていると指摘した。これにたいしてマルクーゼは、労働と「遊び」が和解する社会を構想する。労働と消費の分離に関する問題は、ミルズの『ホワイトカラー』を読んで以降気になっていたから、ここのところは刺激的な議論だった。マルクーゼの「暴力を葬るための暴力」を容認する考えは、当時の反戦運動や学生運動のムードが背景にあったのだろうか。2011/10/13

羽生沢

4
古い本だが、古さを感じさせない生き生きとした筆致で西洋の近代社会思想史を描く。ポストモダン以前の思想潮流を理解する上で役立つ一冊。2014/08/31

ぴの

3
西洋近代思想史の「簡潔で平明な入門書」と謳われているが、私にはレベルが高かったようである。ヘーゲルとマルクスの複雑な文章に慣れ親しんでいなかったこともあって、彼らが取り上げられている章を読むのにかなり骨が折れた。本書はマルクスを中心的に扱っていることもあるので、まず彼等(特にマルクス)についての、より平易な入門書を先に読んでおくべきだろう。あと、個人的には、最終章に出てくるマルクーゼの思想が面白かった。彼の著作『一次元的人間』もぜひ読みたい。2015/05/31

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