岩波現代文庫<br> 挑発としての文学史

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岩波現代文庫
挑発としての文学史

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  • サイズ 文庫判/ページ数 299p
  • 商品コード 9784006000660
  • NDC分類 902
  • Cコード C0198

出版社内容情報

文学と芸術の歴史は作家と作品の歴史であるという見方に対し,著者は,作品の生命はその時代・環境に生きる読者による作品の現実化・再生にこそあると主張し,「受容の歴史」の重要性を説く.論争の的となった傑作批評の新編集版.

内容説明

従来、文学と芸術の歴史とは作家と作品の歴史であるとされてきた。このような見方に対して、著者は、作品の生命は作品そのもののなかにあるのではなく、その時代・環境に生きる読者による作品の現実化・再生にこそあると問題を提起し、「受容の歴史」の重要性を説く。ドイツでの激しい論争の火ぶたを切った表題論文の他、新編集により二論文を収め、全面的に改訳した。

目次

1 挑発としての文学史(文学史は歴史でありうるか;文学史における歴史と美学の乖離;マルクス主義文学史観の問題点と限界 ほか)
2 芸術時代の終焉―ハイネ、ユゴーおよびスタンダールにおける文学革命の諸相(スタンダールの詩的革命;ハイネの宣言「芸術時代の終焉」とヘーゲルの命題「芸術の終焉」;ユゴーの文学革命 ほか)
3 受容理論―その知られざる前史を顧みて(「受容」概念はなぜ必要か;解釈学と受容の関係;中世における受容の考え方 ほか)

著者等紹介

ヤウス,H.R.[ヤウス,H.R.][Jauss,H.R.]
1921‐97年。66‐87年コンスタンツ大学教授。『挑発としての文学史』により独自の受容美学を提唱し論争の的となる

轡田収[クツワダオサム]
1934年生まれ。57年東京大学卒業。学習院大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ハチアカデミー

11
文学史は如何にして成立するのか。それは多分に政治的、権力的なものであり、むしろいまある文学史が成立した社会的な背景を考察すべきである、という提言の書。表題の「Ⅰ」は7つのテーゼによって文学にまつわるアウラを取り払い、社会形成的なものとして再検討を迫る。受容理論を論じた「Ⅲ」では、哲学や歴史学を参照しつつ、パラダイム転換による実証主義の限界を指摘。文学的カノンが社会的な構築物である以上、それが如何に作られたのかを探ること、読者である「あなた」がいかにそれを読むのかを/読んでしまうのかを探ることを要求する。2014/09/23

tieckP(ティークP)

6
三つの論文からなる。「期待の地平」という概念を用いて読者の受容史こそ重要だと宣言した標題論文が最も重要ではある。三つ目の論文は文学以外の神学・哲学・法学などでの受容者無視と着目の歴史について、妙に面白いのが二つ目の、ハイネやスタンダールを軸にしてドイツとフランスの「ロマン主義」の役割の違いを比較した論文。とりわけグロテスクと崇高が対極として論じられた(前者は喜劇的でリアルに近い)のが面白い。ところで僕は作者は死んでない論者だが、今ほどお客様は神様ではなかった頃に「挑発」したヤウスにはかえって共感もする。2021/12/10

茅野

2
難解だが、先に別の受容理論史の本を読んでいたのでなんとか追えた。文学史に一石を投じる歴史的名著。中盤はフランス文学史の解説としても有用。2021/10/11

monado

1
難解ではあるものの、受容美学の基礎となる概念をかなり細かく説明しており読み応えがある。また受容美学が突然登場したものではなく、ちゃんと歴史的な段階を踏んでいるものだという精緻さも持ち合わせている。2025/01/27

MaRuTaTSu

0
友人に紹介してもらって読んだが、使えるかどうかの是非はともかく、目を通しておいてよかった。ともに収録された三つ目の論文「受容理論」は、文学領域に留まらず、中世期以降の受容理論について概観しているため、参考になった。2015/02/25

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