出版社内容情報
水辺・緑化の美学,都市の色への配慮,空間の演出によって新たな都市環境の創造を提言.世界中の都市を比較するための街歩きが,街づくりの工夫と都市景観への視角を提供し,人間的な街並みのあり方に思い至らせる.
内容説明
水辺・緑化の美学、都市の色への配慮、空間の演出によって新たな都市環境の創造を提言。東京タワーとエッフェル塔、浅草仲見世とミラノ・ガレリアなどの比較から、日本的街並みの特質が考察される。世界各地の楽しい街歩きが、街づくりの工夫と都市景観への視角を提供し、人間的な街並みはどうあるべきかに思い至らせる。
目次
1 空間領域に関する考察
2 景観の構成
3 住いや都市環境への提言と工夫
4 世界の景観の分析
5 結び―近代建築のゆくえ
著者等紹介
芦原義信[アシハラヨシノブ]
1918年東京生まれ。42年東京大学建築学科卒業。53年ハーバード大学大学院修了。東京大学名誉教授、武蔵野美術大学名誉教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いくら丼
5
職場の仲間のおすすめ本。正直景観や街並みの美しさの良し悪しを言われてもピンと来ないので、著者とはかなり感性の乖離が……(笑)例に出される地域や建物も見ていないので余計に、肝心の本論は結構苦戦。ただ、思想哲学や文化の拡散、影響には興味が強く、「壁と床」、「外と内」、「線と面」、「正面性と全体性」と、建築物や街並みを見る上での視点をゲットできて良かった。実際にドイツやイタリアを歩いて臨場感を覚えられるようになって、改めて読んでみるとまた面白そうです。ただ、現時点では導入部と締めのまとめが一番面白かった(笑)2022/04/07
さ
3
同時代ライブラリー版で読みました。図書館で借りたもので、前作より先にこちらを読む羽目に…。床の建築と壁の建築、図と地、戦後日本の機能を追い求めた建築物、など。言われてみれば、海外旅行の楽しみの一つである町並み、日本のそれとは大きく異なります。単に素材の違い、文化の表現上の違いかと思ってましたが、外面と内面どちらを重視した結果かという視点が与えられて面白く読めました。2014/05/19
くらひで
3
前半は前著の焼き直しかと思っていたが、後半は都市空間を構成する水辺、緑化、橋、タワー、演出(パフォーマンス、イベント)などの美を分析する。西欧に比して、日本人独特の考え方から外部区間より内部空間に空間秩序の上位性を認め、外部空間や建物の外観に対しては比較的無頓着であり、その結果雑多な、換言すれば、自由な表現方法が実現しているという見解には、説得力がある。 西欧的な都市景観は美しいが、それを模倣するだけでは限界がある。日本らしい美空間を創造する必要があろう。2013/05/10
ksg
3
西洋の正面性や外部からの眺めを重視する「壁の建築」の思想に対して、日本には内部の優位性、内部からの眺めを重視する「床の建築」の思想が根付いている。こういった風土的・歴史的な特性をしっかり考察することが、この日本において新しい形態を考える上では必要不可欠なのだと思う。思いつきや、西洋のリメイクではこの日本の余りに雑多な街並みは解決できない。またそういった違いの生じる理由を理解した上でみる街並みは、より我々に多くを語りかけてくれるものになると思う。2012/08/11
Yoshihiro Ikeda
2
Japanese architecture is the emphasis on the view from the inside out "architecture of the floor." Western architecture is to focus the view from the front of the building and outside of "Architecture of the wall."2012/08/18