岩波現代文庫<br> ユング

岩波現代文庫
ユング

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 204,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006000233
  • NDC分類 146.1
  • Cコード C0195

出版社内容情報

フロイトと並んで無意識の世界に光を当てた精神医学の巨人ユング.元型や普遍的無意識,心理学的タイプや「自己」の概念,個性化の過程といったユング独自の理論展開をたどり,彼の心理療法への寄与を明らかにしたすぐれた入門書.

内容説明

フロイトと並んで無意識の世界に光を当てたユング。人間の身体的側面、特に性の問題を強調したフロイトに対し、ユングはその精神性に目を向け、元型や普遍的無意識、心理学的タイプや「自己」の概念、個性化の過程といった新たな理論を展開した。現代の精神医学に占める彼の比重はますます大きくなりつつある。本書は、ときには錬金術やオカルトの世界にも説き及ぶユングの独自な思想の体系を、客観的な観点から再評価し、その心理療法への寄与についても明らかにする。

目次

1 人間的背景
2 ユングの初期の研究
3 元型と普遍的無意識
4 心理学的タイプと心の自己統御性
5 個性化の過程
6 自己の概念
7 心理療法への寄与

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Gotoran

36
ユンギアンでもなくフロイディアンでもなく、一定の距離を置く英国の精神科医(著者)によるユング(心理学)の入門書。共時性や類型論はオカルトと見做し批判的に述べるものの、外向と内向の考え方、心の自己統御性、個性化の過程、人間の中心の分裂は象徴的な方法により治癒されるという信念は価値あるものと高く評価している。特に、その過程でのユングの概念とフロイト、アドラーのそれの違いを述べ、そのギャップを埋めるための論考が興味深かった。また、訳者(河合先生)の解説が上手にまとめられていて、理解が深まった。2014/06/27

たばかる

22
ユングの概念はおおむねオカルティックなものとして批判されてきた。集合的無意識といった言葉は人間に共通するもの、われわれの深層にあるものという観念を前提としている点からみられるように多くが反証不可能な仮説であり、科学とは言えない。だがそれで価値がないというのではなく、むしろ神話的な読み、つまり類比によって感覚的に伝達されうるものを把握する営みに対する科学的なアプローチであったといえるだろう。2021/11/30

ヒダン

17
ユング派でもフロイト(=アンチユング)派でもない中立な立場からのユング論。フロイトやアドラー、クライン派と比較しつつ語られるので彼らの理論の雰囲気も分かってお得だったり、ユングの理論もこの部分は私には無価値だと切り捨てていたりする。ユングには宗教的統合こそ至高だという価値観が根底にある。3章の原型と普遍的無意識は壮大な理論で感心する。一方でそのような悩みを抱えることなく幸せに暮らす人だっているのだというストーの指摘はこの本で繰り返し主張されるユングの特殊性の典型的な例で印象深い。2017/03/08

MO

8
ユングは難しいとのことで尻込みしていたが、フロイトと対比しながら中立の立場で書かれていて初心者の理解に役立った。自分は打つ気にみた内面のブラックホールを何か知りたくて心理的なものを読んでいるのだが、ユングを知れば知るほどそれに言及している箇所があって、やはりノイローゼの幻覚以上の何かがあるのでは、とさらに思おうようになった。ユング本人も精神の危機を持ったということが大きいのだろう。2023/03/26

うえ

5
「ユングは…フロイト支持の論文を出版し続けるなら、自分の経歴のためにならないぞと、警告されていた。この警告は当然ながら、彼にますます熱烈にフロイトを弁護させる…われわれは皆、不当に拒否されていると感じられ、そのため自分が弁護している人に対しては、過度に熱心になりやすいものだから…フロイトの方では、精神医学の体制に属している…仲間と関係のない人による擁護を、とても必要としていた。…その上、フロイトの仲間の多数とは異なり、彼はユダヤ人でなかった。この点については、フロイト自身ジョーンズへの手紙で強調している」2024/07/07

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/458236
  • ご注意事項

最近チェックした商品