出版社内容情報
ロボット=完全無欠な存在、とイメージする人は多いでしょう。本書に登場するロボットはどれも弱みや苦手を持ち、それゆえ周囲の助けをかりて初めてコトを成し遂げます。弱さを補いあい、相手の強さを引き出す〈弱いロボット〉は、なぜ必要とされるのか。生きることや他者との関係性、社会の在り方と共に考えます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
48
人の力を借りながら活躍する弱いロボット。その開発をしている著者岡田さんのエッセイ+弱いロボットの開発秘話をまとめたのが本書。弱いロボットは人々の役にも立つし癒しにもなる。2024/12/23
すーぱーじゅげむ
10
ゴミ拾いロボットだけど、ゴミはそこにいる人に拾ってもらう。ゴミ箱がよたよた動いているだけ。人間と同じ機能の手を作る予算がないし、ゴミか大事なものかも見分けられないし、そこは人に頼ってしまおう!それが<弱いロボット>。○○する人と○○してもらう人を完全に分けてしまうと、してもらう側が際限なく要求するようになる。自立というのは、依存先をたくさん作って分散させること。全部自分でできることがいい、という考えは息苦しい社会を生む。本当にそうだな、と思える新書でした。2024/10/11
oooともろー
6
前にも著者の同テーマの本を読んだことがあった。完全を目指さない。関係性の中で解決していく。ブリコラージュ。2024/08/31
Mentyu
4
完全無欠を目指さない。自分の弱さを認めて、周りに頼ってみる。そんな弱者の戦略について、著者の半生と、これまで作ってきた「弱いロボット」を参考に考えていく。みんながみんな完璧ではない。でも、強みもある。それを認めて協業関係を作っていくと、より良いチームワークができあがる。つまるところ、自立とは、依存先の多さなのだ。2025/01/15
アカショウビン
4
科学技術は目先の効率、利益(生存)をちらつかせ、格差社会を助長し、管理を強め戦争を激化させるどうしようもないもの、という諦めがあった。しかし科学にもこんな可能性があるのかと感動した。最先端ロボットは何とブリコラージュなのだ。筆者の作った学習共同体は未来形の学校であり、可能性を感じる。自立とは「依存先を豊富にもち、それを分散させ」ること。例えば「注文をまちがえる料理店」(一昔前には普通にあったはずだが)。準備不足の授業。この辺りがコンヴィヴィアルを理解しやすい。防災における指摘も納得。理系学問を見直した。2025/01/01