出版社内容情報
クマゼミ増加の原因は、温暖化が進んだせいなのか?地道な調査・実験から温暖化との関係を明らかにする。
内容説明
大阪など西日本の都市ではクマゼミが著しく増えており、同時に分布域も東へ北へと拡大している。クマゼミ増加の原因は、温暖化にともない冬の寒さが緩和されたせいなのか?はたまた乾燥が進んだことが原因なのか?地道な調査・実験から温暖化との関係を明らかにする。科学的真理を探究する過程の奥深さと楽しさを味わえる一冊。
目次
近年にみるセミの変化
クマゼミが引き起こした問題とは
今、起こっている温暖化とは
温暖化をめぐって
温暖化と昆虫の変化
セミの研究を始めた経緯
冬の寒さとクマゼミの増加の関係
夏の乾燥とクマゼミの増加の関係
土の硬さの影響
梅雨に孵化するために
クマゼミから見えてきた温暖化
著者等紹介
沼田英治[ヌマタヒデハル]
1955年生まれ。京都大学理学部卒業、京都大学大学院理学研究科修了(理学博士)。大阪市立大学理学研究科教授を経て、京都大学大学院理学研究科教授。昆虫類を主要な研究対象として季節適応の生理学や時間生物学の研究に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
香菜子(かなこ・Kanako)
23
クマゼミから温暖化を考える。沼田 英治先生の著書。地球温暖化問題や環境問題を考えるのは簡単ではないから地球温暖化問題や環境問題は自分とは関係のない話として終わらせてしまいがち。でも地球温暖化問題や環境問題に正面から向き合わないと人類の未来はない。自分にとって身近なクマゼミからなら地球温暖化問題や環境問題を考えることならできる人は多いはず。地球温暖化問題や環境問題を考えるきっかけをだれにでもわかりやすく与えてくれている沼田 英治先生を尊敬。2022/08/04
鯖
18
学生の頃、真鶴を歩くと\シャンシャンシャンシャン/という聞き慣れない蝉の声と足許の目が真っ赤で薄緑に縁取られた透明の巨大な蝉の死体に驚いたものだった。今ではウチからもクマゼミの声が聞こえてくる。クマゼミが生息地を広げた要因として、梅雨の時期がずれクマゼミが卵から孵化しやすくなったこと、クマゼミの幼虫はアブラゼミよりも硬い土を掘る力が強いこと、都市部で樹木が減ったせいで飛行距離に劣るアブラゼミは木から木へと飛ぶ間に鳥に捕食されやすこと等をあげている。要は温暖化のせいというより人間のせいなんだよな…。2016/10/22
miho
7
ここ数年、クマゼミの鳴き声ばかりだと感じていた。西日本にクマゼミが著しく増加したのは温暖化が原因なのか、そうだとすれば温暖化によるどのような影響からなのか、実験を積み重ね原因を追究していくさまがわかりやすく描かれている。温暖化によって単純な生態系になってしまうのは気がかりだ。2017/06/19
yamakujira
7
大阪では、かつてアブラゼミが多くてクマゼミは珍しかったのに、今ではクマゼミばかりになっている。これが温暖化の影響なのかを検証するするのが本書の骨子だけれど、温暖化に関して解説するイントロダクションも興味深い。昆虫の生息域北上については、温暖化による気温上昇に原因を求める単純な図式が多い中で、疑問を持って多角的に検証する内容は、科学の在り方を示唆するようにさえ感じる。クマゼミの増殖は温暖化が間接的に関与してるものの、なかなか複雑でおもしろい。東京では思ったほどクマゼミって増えてない気がする。 (★★★☆☆)2016/08/09
oooともろー
5
クマゼミの増加の原因を探る。温暖化とヒートアイランド現象。クマゼミの一齢幼虫は他のセミより土に潜る力が強い。鳥から逃げるのもうまい。面白い。2024/05/22