出版社内容情報
文学の面白さの秘密はどこにあるのか。多様な作品を題材に読むコツ、書くコツ、味わうコツを指南する。
内容説明
読むことを楽しむにはどんな方法がある?魅力的な文章を書くにはどうしたらいい?その両面から文学の面白さ、深さを構造的に探っていく。太宰治をはじめ多種多様な文学作品をテキストにしながら、読むコツ、書くコツ、味わうコツを具体的に指南する。「文学大好き!」な現役の中学・高校生を対象にした「文学講義」をまとめた一冊。
目次
1 文学の楽しさはどこにあるのか―二つのものを結びつける力(開演の挨拶(生徒代表)
講演開始
文学は実生活で役に立たない?
組み換え、再編成、関係の場―私の仕事から
なぜ富士には月見草が似合うのか ほか)
2 文学のいとなみ―読むこと・書くこと(すべての本は役に立つ;必読書というもの―古典の新鮮さ;自分だけの「名作」を見つける;書評を利用し、ファイルを作る;恋愛小説が苦手な人がいる ほか)
著者等紹介
中村邦生[ナカムラクニオ]
1946年東京生まれ。作家。大東文化大学文学部教授として比較文学、英米文学、文章制作法などを担当。「冗談関係のメモリアル」で『文學界』(文藝春秋社)新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y
37
小説を読むこと、書くことにまつわる楽しさを解体した一冊。「ファンタジーの二項式」の話が本当に興味深かった。自分も同じように考えていたこと、自分でも知らなかったことのその両方の書かれているバランスがちょうど良かった。小説を読むときにあらすじばかりを追うだけでは得られない真の読書の楽しみ方というのが明らかにされていて面白かった。2016/04/18
そふぃあ
33
文学理論についてあまり読んだことがない。(幾つか積んではいて手が伸びず数年経っているものが多い。。)中高生向けで非常に読みやすく、語りかけるような内容で理解もしやすい。書き手・読み手両方の目線から文学を考えるのは楽しかった。ディテールに面白さがあり、読んでいない時も物語が頭の中でぐるぐる回る“中断を余儀なくされる小説”は名作というのは確かにそう。もっと若い頃から古典に触れたかったし、それこそ世界文学全集があるような家で育った人が羨ましい。けど、新鮮な気持ちで読める古典名作が残っている人生は楽しみでもある。2021/09/02
joyjoy
17
中・高生への講演録。次々と紹介される文献がどれも面白そうで、読もう!という気に。本日は土曜日。書物の選択眼を養うのに書評を利用、とあり、早速朝日新聞を開く。普段ならタイトルだけ見て読み飛ばすことも多いのだが、本書を読んだ直後だったせいか、どの書評も、ふむふむ、へー!と楽しめた。その書評のひとつに、「ハウツーの効用はエナジードリンクに似ている」とあり、この本を読み終えた今の自分の高揚感、まさにそれだ!と笑う。村上春樹、なんとなく敬遠していて読んだことがないのだが、読んで比喩に酔ってみるのも悪くないかも。2023/04/29
Jima
15
印象的箇所・雑記*p9「(実生活で役に立たない)・・文学はその前提そのものを疑う」*ダブルヴィジョンがイメージを喚起(Ex富士には月見草が似合う)*ファンタジーの二項式:物語は二項式から始まる*デぺイズマン(遠く離れたもの同士を接近させる技法)Ex檸檬/爆弾*異化作用(日常のものを意図して見慣れぬものとして描く技法)Ex猫の視点*比喩の効果も二項式・・・「比喩に出会うと気分が高揚する」「細部の表現こそ小説の味わうべき充溢がある」*すべての本は役に立つ*古典は面白さの要点のつかみ方で読書欲湧く。2016/12/11
sabosashi
12
青少年にブンガクなるものを教え込むのは至難の業。 青少年といわずに思春期、と言い換えてもいい。 教え込むなんて畏れ多い言い方も、ここではふさわしくないかも。 むしろ、ブンガクと遊んでみよう、なんてノリのほうがいいに決まっている。 いや、それは子どもを舐めている。 思春期の直感力を信じなければならない。 要は、どうともでも言えるということか(笑)。 この本はかなり薄い。 平積みでもしてあれば鯉のぼりでも作れそうなノリだ(そんなこともないが)。 2022/12/08