内容説明
文化立国フランスを彩る数々の宝刀の中でも、ひときわ輝きを放ち、世界の人々を甘く魅了してきた「お菓子」。それは教会や修道院で生まれ、やがて王や貴婦人たち、そしてブルジョワや文豪、パティシエたちによって、戦略的に磨かれてきた。フランスの歴史をその結晶であるお菓子によってたどり、フランスの「精髄」に迫る。大人気!!東大講義。「パスタでたどるイタリア史」につづく第2弾!
目次
序章 お菓子とフランスの深い関係
第1章 キリスト教信仰と中世の素朴なお菓子
第2章 略取の名手フランス
第3章 絶対王政の華麗なるデザート
第4章 革命が生んだ綺羅星のごとき菓子職人
第5章 ブルジョワの快楽
第6章 フランスの現代とお菓子
著者等紹介
池上俊一[イケガミシュンイチ]
1956年、愛知県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。専門は西洋中世・ルネサンス史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
51
イタリア由来のもの、植民地原産の果物や砂糖を使ったもの、いろいろな経路でフランスに入り、もともとあったお菓子と融合して発展したスイーツ。外交上の武器となったこともあったようだ。歴史と絡めてあって楽しく読めた。2016/07/16
ホークス
50
「人のよいイタリアから受けた数々の恩義を忘れて涼しい顔をしている」「世界中がフランス美食神話にたぶらかされ続けている」とフランスを評する。揶揄ではなく、上手くやってるなという皮肉と賞賛。『パスタでたどるイタリア史』同様、ポジとネガをより合わせる語りが上手い。夢と幸福が似合うお菓子と悲惨な人間の歴史。お菓子の世界を変えた砂糖も、奴隷の苦しみと引き換えだった。誰もが悲惨に加担する図式は今も続く。せめてもの慰めである料理やお菓子をフランスは芸術という武器にした。日本にもチャンスは十分ありそうだ。2019/12/01
コジ
34
素朴なパン菓子から始まったフランスの菓子文化。中世に入り王族や貴族の国際結婚で国内に持ち込まれた外国の食文化を取り入れ、応用と発展を繰り返した後に食卓芸術と呼ばれる程になる。16世紀からの砂糖菓子の時代。その後、チョコーレート、生クリームと今日のフランス菓子を構成する要素が揃っていく。それまで貴族たちの元で発展していった菓子が大衆への広がる切欠となったのはフランス革命。歴史上の重要人物、事件と菓子が関わる機会はそう多くは無いが、稀に関わる機会があるとフランスの菓子文化が大きく発展する点は興味湧いた。2016/08/08
sasara
27
東大大学院教授池上俊一著 岩波ジュニア新書 生きるためには不可欠ではないのに生活に甘美なうるおいを与え幸せを与える不思議な食べ物たち。おフランスで発展し国家戦略としてどのように利用したかがよくわかります。ゴーフル、ドラジェ、ビュッシュドノエル、マカロン、クグロフ、シャルロット、マドレーヌ、サヴァン、ブランマンジェ、ルリジュース、タルト・タタン、ミルフィーユなどほとんど食べたことないですがどれも優美な響きでおじさんも憧れます(笑) 2021/04/07
aisu
25
フランス史の勉強になった。と言ってもページ数に限りがあるので、私の脳内で、かつて読んだマンガや、イタリアや西洋美術から得た知識で補完しながら。お菓子の歴史の方が説明が詳しいかな。お菓子、食べたくなってくる〜ゴクリ2016/06/25
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