内容説明
爆心地で奇跡的に一命を取り留め67年ぶりに再会を果たした幼なじみ、惨状を目の当たりにして呆然とする女性、救えなかった命の重みを思い続ける男性…。広島出身の女優・綾瀬はるかが被爆者や沖縄戦の関係者のもとを訪ねます。今まで語ることのできなかった辛い戦争の記憶。今、語り継いでいきたい大切な記録。
目次
1 広島(「後家村」と呼ばれた村;一〇代で被爆した女性たちの声;救えなかった命;引き裂かれた婚約者)
2 長崎(未来に伝え継いでいきたい女性たちの物語;奇跡の少女、六七年目の再会;明かされる爆心地の惨状)
3 沖縄(学童疎開船、対馬丸の悲劇;ひめゆりの沖縄戦)
4 ハワイ(真珠湾に散った恋)
5 東北(原爆と津波 二つの悲劇;故郷・福島を追われた被爆者)
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
84
綾瀬さん自身の祖母が語る、原爆で姉を亡くした体験から始まる。「女性がしっかりせにゃダメなんよ、ね。女性の力で戦争を起こさんように」とは、わたしも含めた男性にも当然突き刺さる言葉である。1995年の『長崎 よみがえる原爆写真』で、被爆後の自分の姿を初めて見て、その写真の記憶から、今回そのさらに18年過ぎて、当時向かいの家に住んでいた少女と再開できた女性、等々、この本にはコメントに書ききれないほど、紹介したいエピソードにあふれている。2冊目も続けて読む。2019/11/13
憲法記念日そっくりおじさん・寺9条
81
TV番組を文字におこした本だが、良書だと思う。広島出身・綾瀬はるかの祖母の姉は原爆で亡くなっており、祖母に話を聞く所からスタート。広島・長崎・沖縄・ハワイ・東北(広島で被爆した上に東日本大震災の被害を受けた老人達)を訪れ戦争体験者の話を聞いたり共に傷跡を見に行く。圧巻なのはハワイ編。真珠湾攻撃で婚約者を失った老女とハワイに行く。そこで知る婚約者の悲しい事実等等。綾瀬はるかの寄り添い振りも良く、老人達を気付くと下の名前で呼び手を握る。ラストの共に笑顔で蜜柑を食べる写真が良い。その平和よ永遠に。2014/12/15
シュシュ
51
広島出身の綾瀬はるかが、広島長崎の被爆者、ひめゆり隊や真珠湾攻撃の経験者、学童疎開船対馬丸に乗っていた元教師や周囲の人たちに話を聴いた。広島で被爆した上に福島で被災した人もいた。平易な言葉で書かれているせいか、かえって胸に迫るものが多かった。被爆者のケロイドがこんなに辛いものだとは知らなかった。祖母の体験を聞いた綾瀬はるかの「なんか、今までの自分が恥ずかしい」という言葉に共感。「戦争なんか起こさんように、女性がしっかりせにゃダメなんよ。女性の力で戦争を起こさんように」という言葉がとても印象に残った。2016/08/28
ばりぼー
51
子ども達が、修学旅行に行っているため、自分も研修のつもりで読みました。広島で生まれ育った綾瀬はるかさんが、広島・長崎・沖縄・ハワイ・東北を訪れ、過去の悲劇を知る被爆者や関係者の方々を丁寧に取材した番組の記録です。資料として残された写真の少女を捜しあて、さらに写真には写っていない真相まで掘り起こしてしまう件では、メディアの底力に感心しました。これは活字ではなく、映像の方が訴求力は強いと思います。テレビ局は、くだらないバラエティばかり作ってないで、伝えるべきことをきちんと伝える正当な努力を続けて下さい。2013/11/15
壱萬参仟縁
46
対談。写真豊富。本書は各国語に翻訳して、広く世界に発信してほしい内容。おひとりおひとりから絞り出すように語られる悲惨な話。それらを綾瀬さんが受け止めながら、漸進していく。後遺症の苦しみ。阿部さんは、「戦争は一番、不幸を作る元凶です」(21頁)と指摘される。安倍首相の姿勢が問われる。加藤さんは、「原爆がどんなに、日本人、一般市民を悲惨な目に合わせたかを、語り継ぐことが敵を取ることだと思う」(32頁)。 2014/07/21
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