内容説明
22歳の夏、広島で被爆した沼田さんは左足を失う。焼け焦げたアオギリが新芽を出す姿に励まされ、自殺を思いとどまる。やがて原爆記録映画への登場をきっかけに、証言活動をはじめる。欧米やアジアでは、被爆者と加害者の両方の立場で語り、平和の尊さを訴え続けた。戦争や平和、今後の社会のあり方について考えるための一冊。
目次
1章 沼田鈴子さんの証言―戦争と被爆体験
2章 沈黙の日に見た原爆フィルム
3章 アオギリの語り部が誕生
4章 戦争の傷跡を訪ねて
5章 空飛ぶ平和の民間大使
6章 戦争と核のない世界を
著者等紹介
広岩近広[ヒロイワチカヒロ]
新聞記者。1975年に毎日新聞社に入社し、主に事件と調査報道に携わった後、2005年に大阪本社編集局次長として戦後60年企画の原爆報道を担当する。2007年に専門編集委員に就任し、記録報道「ヒバクシャ」のアンカーを務める一方、大阪本社発行の紙面でルポ「平和をたずねて」、インタビュー「今、平和を語る」を連載している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
25
自分で考えて行動する、子どもに(4頁)。著者の願いは平和は次世代の健全性に求められている証だろう。わたしも同感である。現世代や前世代以前の過ちを繰り返さないために。沼田さんは戦時下、筋金入りの軍国少女に仕立て上げられていた(12頁)。広島逓信局の運動場。半狂乱の叫び声。血だらけの人。火傷で両手が宙ぶらりん。パニック状態(29頁)。これが原爆の真実。無麻酔で左足をノコギリ切断(34頁)。痛みと虚しさを思う。 苦しんだ挙句、亡くなる人を彼女は目撃している。 2014/07/29
ユウヤ
4
戦争で失ったものを求めるか、失ったからこそ与えるか。沼田さんの生きざまに圧倒された。戦争の痛みを知らないリーダーにこそ聞かせたい。「日本を戦争のできる国にしてはいけんよ。」沼田さんの一途な想いを隣の人に繋げていこう。2013/10/01
けろこ
2
自分の被爆体験を語る前に、必ず日本が加害国だった事実を謝罪する姿に感銘を受けました。 また、被爆した人たちをかわいそうと思うだけではだめ。そこから何が自分にできるかを考えられるようになってほしいという沼田鈴子さんの言葉にまったくその通りだと思いました。 わたしができること、その一つはこの本を多くの10代に紹介することだと思っています。2015/05/02
takao
1
ふむ2021/04/02
紺色の風書
1
原爆記録映画への登場と欧米への講演から始まる沼田さんの証言活動には、これまであまり知らなかったのですが感銘深く読みました。壮絶な体験をして、障害を抱えながらも、証言活動をこれだけ大きく進められたのは、アオギリに励まされているのがよく分かるし、平和記念公園で見たアオギリの記憶が蘇った来ました。戦争で受けた被害を相手周りの国地域に語るには、相手や周りの歴史を知り、想像できるかの大切さをあらためて感じた。平和な社会を築き、生きる基本や力は何か考えさせられた。2015/08/03
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- Niels Lyhne