内容説明
大阪市のある区では、就学援助支給率が50%にもなっているという。いま、経済的理由で進学できなかったり、中退する生徒も各地で急増している。子どもや若者、また女性や高齢者の生活に重大な影響をおよぼす貧困。その実態を見つめ、問題解決の方法を考えてみよう。
目次
1章 二人のひろし
2章 日雇労働者の貧困―あいりん小中学校
3章 子どもの貧困
4章 大阪市西成区で
5章 激化する貧困
6章 貧困の解決のために
著者等紹介
生田武志[イクタタケシ]
1964年6月千葉市生まれ。同志社大学卒業(専攻は数学史)。大学在学中から釜ヶ崎の日雇労働者・野宿者支援活動にかかわる。大学卒業後は日雇労働者として働く。2000年、群像新人文学賞評論部門優秀賞。2001年から各地の小、中、高校などで「野宿問題の授業」をおこなう。野宿者ネットワーク代表。現在は、釜ヶ崎の児童館のアルバイトや原稿書き、授業、講演などで生活している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みゃーこ
83
貧困は社会構造から作られるという事実を分かりやすく解説。著者は各地で現場から声を発している活動家の一人。神戸大学での講義に参加したが社会不適合感がいい感じに出ていておもしろい人間味のある魅力的な方だった。2013/10/31
(C17H26O4)
51
ジュニア新書なので中高生向けだと思うが、大人が読んでも十分良い本。日本の貧困の実情がデータやルポを交えて順を追ってしっかりと分かりやすく書かれている。外国との比較データも様々示されていて、そこから日本の貧困率の高さ、社会保障の少なさが見て取れる。日本の所得再配分の著しい弱さや日本の女性パート賃金の異常な低さには驚いた。貧困の問題を考えることをきっかけに、社会について考えることにもつながる本だと思う。表紙がなんだか昭和っぽいのだが、初版は2009年。もうちょっと若者向けの装画の方がよいのではという気がする。2018/08/30
鷺@みんさー
49
2009年刊。ジュニア新書にしては内容が結構難しいかも。主に大阪の西成での夜回りインタビューからの報告がメインで、日雇い労働者、母子家庭および子どもの貧困をケース付きで紹介しており、豊富な資料から「なぜ貧困になるのか、どうして貧しいのか」を紐解いている。現場の教師や支援者たちが、実際的な寄り添いをしているのがわかる。障害者の貧困に関する章もあり。読み応えはあったが、始終ため息をつきたくなった。2018/07/01
むつこ
21
岩波ジュニア新書ということもあり、とても読みやすい。日本の貧困とは。。。学校・教養は大事ということがわかった。自分のことでいっぱいの親の姿を見ている近隣十院の人々が手を差し伸べることの重要性。もっと、もっと行政が子供の暮らしに携われる、親と子を引き離し保護する法律を作ってもいいと思う。2023/07/24
タマ
6
日本が解決しなければならない問題はこんなにもあるんだと感じました。多くの人が希望を持てる新しい社会を作っていくことが必要です。2016/05/29