感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アーちゃん
50
2009年発行。『クラクフ・ゲットーの薬局』翻訳者の田村和子さんがポーランド・ワルシャワのパヴィヤク監獄博物館に展示されているポーランド人女囚が作った日本人形を中心に、人形が作られた背景とポーランドの近現代史を考えていく作品。児童書だけど内容はかなり濃くて第二次世界大戦前123年ぶりに独立したそのすぐ後の大戦中はドイツ、戦後は東欧としてソ連支配下と占領の歴史だったポーランド、蝶々夫人のオペラやシベリア孤児の救済といった日本との結びつきなど知らなかった事が多いのに驚き。絶版は惜しいと思う良作。2025/02/21
Nobuko Hashimoto
22
旅から帰ると、行ってきた土地により興味がわく。位置関係や雰囲気がわかるので、そこを舞台にした本を読んだときに理解が深くなるように思う。旅は「復習」も大事だなと感じている。本書も帰国後再読したところ、前回読んだあと記述があったことは忘れていたけど、現地でたまたま史跡にゆきあたったときに、それがいったいどういうものなのかがすぐに理解できたものがあった。月イチ書評連載で取り上げた。https://www.kansai-woman.net/Review.php?id=2015842019/08/15
nico
19
児童書コーナーで目に入って手に取った1冊。タイトルにあるパヴィヤク監獄に収容された女性がつくった日本人形の話だけでなく、コルベ神父、ヤヌシュ・コルチャック、蜂起のこと、ワルシャワにある博物館など、第二次世界大戦でのポーランドについてうまくコンパクトにまとまってて分かりやすかった。ワルシャワ訪れたとき日本人形の存在知らなかったので、もっと早く本書に出会いたかったなぁ。『窓際のトットちゃん』が「国際ヤヌシュ・コルチャック文学賞』を受賞しているのは知らなかった。2021/05/14
Nobuko Hashimoto
16
著者はポーランド語の翻訳者。ドイツ占領下のワルシャワで抵抗運動に携わった人々や、彼らを記念する博物館などについて、わかりやすく語るように紹介する本。パヴィヤク監獄に収容された地下運動家の女性が少しずつ少しずつ仕入れた材料で作った日本人形にまつわる話や、そのエピソードを日本のアーティストがパフォーマンスにした話、日本の援助でシベリアから救出され、のちに「孤児部隊」を率いてワルシャワ蜂起に参加した青年の話など、興味深い事実が続く。コルチャック先生やコルベ神父の記述も。本書で紹介されたところをぜひ巡りたい。2018/03/22
みなみ
9
岩波ジュニア新書。日本から遠いポーランドの近現代史を、ワルシャワに残る日本人形を手ほどきにして読み進めていく一冊。ポーランドの地下活動家の作った日本人形の話から、ポーランドのナチスドイツへの抵抗の歴史、政治犯が収容されたパヴィヤク監獄(戦後は博物館となった)、ワルシャワ・ゲットーの迫害と蜂起が紹介されている。戦時中を舞台にしたヤングアダルト小説も紹介されている。「ガラスの盾」「ブリギーダの猫」の2冊だ。これらは日本語になっているので、いずれ読んでみたいと思う。2022/01/02
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