内容説明
日本の政治はどんなしくみになっているのでしょうか。政治家とはどんな人たちで、国会や内閣で何をしているのでしょう。政治は私たちの生き方を大きく左右しますが、どこに注意をして、どういうふうに接したらよいのでしょうか。政治を見たり考えたりするときのヒントがたっぷりな一冊です。
目次
1章 政治とは何のためにあるか
2章 理想の力、現実の重み―世の中をどうやって変えるのか
3章 メディアと政治―政治を見るときに注意すること
4章 政治家と政党―どういう人たちが何をしているか
5章 議会制民主主義とは何か―国会が大切なわけ
6章 議院内閣制のしくみ―総理大臣がいちばん偉い?
7章 現代日本の民主政治―どんな問題があるか
8章 私たちが政治を動かす
著者等紹介
山口二郎[ヤマグチジロウ]
1958年岡山県生まれ。東京大学法学部卒業。現在は、北海道大学法学部教授。専攻は行政学・政治学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolflat
16
75頁。小選挙区の下で民主政治がそれなりに維持されるためには前提条件がある。この制度が定着したのは19世紀のイギリスだった。まだ制限選挙制度が残っており、有権者は比較的同質的だった。当時の二大政党制を構成した保守党と自由党はどちらも保守的な立場を前提として、国内産業の保護か自由な通商の推進がという政策の違いを打ち出していた。どちらの政党が勝っても、変化や選択の余地は小さいので、勝者皆取りの方式は是認された。しかし様々な異質な集団からなる社会の場合、小選挙区制は欠陥を露呈する。2023/07/08
たんたん麺
14
「政治とは何のためにあるか」から始まり「私たちが政治を動かす」まで8章にわたって政治がわかりやすく書いてある。ー民主主義という仕組みで世の中を形作るということは、人間が「与えられた前提」の奴隷にならないということです。性別や人種によって人間を差別するという秩序が「当然」であり、「与えられた前提」であるような時代が存在しました。差別される側にとって理不尽な秩序を変えてきたのは、民主主義という武器です。自分の生活や生命を守るために、またすべての人の人間の尊厳を守るために、しっかり権利を主張していってほしい。2014/05/05
白義
12
政治の入門書としては今のところベスト。今後長くスタンダードになる本だろう。政治とは何で、なんのためにあるのかという原則から、政治制度の仕組み、政治家や官僚がどういう仕事をしていて、何ができるのか、はたまた読者一人一人が政治をどうとらえたらいいのかを、子どもでもわかるバランスのいい文章で書いている。理想と現実をどう組み合わせるか、国政だけではない身近な政治まで、どう想像力を養い、行動するのか、根幹を書く基本書になるだろう2011/09/02
崩紫サロメ
11
2009年の本だが、今も変わらない政治の本質=国家の強制力と結びつくルール作り、についての本。政治は理想を掲げなければならないが、理想主義者が唯我独尊に陥ると全体主義に他ならないものになってしまう。懐疑的な理想主義、楽観的な現実主義こそ、政治に必要な精神であるとする。またこの頃、小泉改革によって「リスクの社会化」ではなく「リスクの個人化」が進んだが、その傾向は15年以上経ってますます酷くなっており、本書が提示している問題は現代人こそ向きあわなければならないだろう。2025/08/24
YT
10
ジュニア新書だから、我々がどう政治に参加して行くかに目配せがされていて良い。 時事的に右傾化する日本への分析としても役立った。政治は理想主義を追求することから始まる。ユートピアを人間がコントロールするということの限界、スケープゴーティングや安直な特効薬にすがりたくなる、また自分の理想が全てという傲慢さが理想の実現の不可能性を物語る。 圧倒的、世の中の複雑さに耐えられなくなった人間が増えた現代で、傲慢な姿勢に陥らず対話を重んじていく姿勢を重要視したい。2025/07/28