内容説明
楽しいことも、悲しいことも、苦しいことも、粘土は黙って聞いている―。自由自在などろんこ粘土は、心身に重い障がいのある人たちの心も開いていきました。ただの土が「命のかたまり」として光を放つまでに、どんなドラマがあったのでしょう。滋賀県「第二びわこ学園」を舞台とする「にゃにゅにょ」の世界へようこそ。
目次
1 重い障がいをもつ子どもたちと出会う
2 粘土活動、はじまる!
3 粘土の世界へようこそ
4 土が命のかたまりになった!
5 芸術は爆発だ!?
6 粘土の小宇宙の大きな広がり
著者等紹介
田中敬三[タナカケイゾウ]
1943年、京都市に生まれる。龍谷大学経済学部卒業。1969年、滋賀県にある第二びわこ学園(現・びわこ学園医療福祉センター野洲)に就職。1979年から粘土室の専任となる。2003年、定年退職。現在は、大津市内の心身障がい者通所施設などで、嘱託として粘土指導にあたる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ybhkr
2
重度障害の施設、びわこ学園の試みとしての粘土活動。ティーンズ向けのコーナーにあったので子供向けの自由な粘土細工の本かと思ったらあまりにも壮絶で尚且つ、光ある内容でびっくり。表紙を見て、今度ハニワを作りに行きたいから参考にしようと借りたのにもっともっと粘土の自由な使い方が掲載されていた。円空さんレベルで粘土を作り続ける公明さん、すごいなぁ。最近、障害者の方に作っていただいた素晴らしい切り絵をプレゼントされてすごいすごい、と感動していたのでこれもまた目が覚める思い。ロバの長介もがんばれーって気持ち。2015/05/14
あさばー
1
以前、研修でびわこ学園の職員さんと一緒のグループになったことがあり、この粘土活動の存在は知っていましたが、詳しくは知りませんでした。こういう活動は、形を残すことが目的になり、介助者側がついつい手を出してしまいがちですが、ドロドロの感触を楽しむだけでもOK、身体に塗ったくってもOK、何でもアリなのがスゴイな、と同時にうらやましい。『「作品」として残っているものは、彼らが粘土であそんだ「残りかす」のようなもので、本当の作品は彼らが粘土であそんだ過程にある。』心に響きます。何度でも読みたい本です。2013/11/07