内容説明
海と陸の生態系がつながる原生の自然ガイド!2005年に世界自然遺産になった知床。その登録地域は半島だけでなく、広く沖合3kmまでの海域を含む。流氷からはじまる海の豊かな栄養が魚・鳥・海生哺乳類をそだて、自然海岸と川を通じて、陸のヒグマやオジロワシを頂点とする生態系にむすびついているのだ。カラー写真多数。
目次
1章 世界遺産になったのはなぜ?(世界遺産ってなんだろう;どの部分が登録されたの? ほか)
2章 こんなにも豊かな生きものたち(多様な環境;鳥たちの生態 ほか)
3章 海と陸が一体となった生態系(流氷が豊かな生物相をささえる;豊かな海と陸のつながり)
4章 人と自然が歩いてきた道
5章 知床を守っていくために(野生動物とどう共存するか;利用と保護のバランスをとる ほか)
著者等紹介
中川元[ナカガワハジメ]
1950年札幌市生まれ。北海道大学農学部卒業。斜里町立知床博物館、知床自然センター勤務の後、1995年から知床博物館館長。研究テーマは、鳥類の生態、野生生物の保護管理など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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翔亀
37
観光案内書と一線を画すのは、知床の開発と保護の歴史や、無作法な観光客やカメラマンへの批判が書かれているからだけではない。知床博物館(斜里町立)に長く勤めた著者の眼差しは、あくまで知床の野生生物だ。オジロワシやシマフクロウ等の猛禽類、ミズナギドリやケイマフリ等の海鳥、ヒグマやトド等の哺乳類、そして川を遡るサケ等の魚。もちろんそれを支える森。海と山と川(知床の場合は流氷がポイント)が一体となっているからこそ育まれた野生生物の豊かな生態系(つながり)が紹介される。↓ 2015/08/21
Takao
3
2006年9月28日発行(初版)。ついこの間買ったと思っていたが、11年前、2005年の世界遺産委員会で知床の世界自然遺産登録が決まった直後の出版。本書を読んでみて、世界遺産に登録された知床がこの10年でどのように変貌したかが心配になった。本書は、知床が世界遺産に登録されたのはなぜか、知床にはどのような自然的な価値があるのかを詳述。アムール川がもたらした陸の栄養、流氷に乗って知床半島周辺に至り、知床の海と陸を豊かに潤している。課題も山積だが、貴重な生態系をそのまま後世に伝えていきたい。2017/08/22