内容説明
「想像力」、それは人であればだれでも持っている魔法だ。ご存じ『魔女の宅急便』の作者が、幼い頃からの体験と重ねながら、みずからの童話作家としての歩みと創作のひみつを語ります。水平線という一本の線の魔法、主人公の名前のちから、物語のとびらが開く瞬間のこと…。あなたのすぐ隣にある不思議に気づかせてくれます。
目次
1 空想の世界
2 私の本棚
3 むこうの世界
4 「はじめまして」と自分にいう
5 魔女
6 物語の生まれるところ
7 魔女キキと私
8 音とことば
著者等紹介
角野栄子[カドノエイコ]
1935年東京に生まれる。1957年早稲田大学卒業。出版社に勤務した後、1960年ブラジルに出かけ二年間滞在。1970年頃より絵本、童話の創作をはじめる。『ズボン船長さんの話』で旺文社児童文学賞、『大どろぼうブラブラ氏』で産経児童出版文化賞大賞、『魔女の宅急便』で野間児童文芸賞、小学館文学賞などを受賞している
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
202
あのときの風をなぜ忘れられないのだろう。本の頁に終わりはあっても芽生えた物語は永遠に続いていく。キキは小さな花だった。幸せな結末を望んでいた幼い頃の思い出がふと巡る。想像に縛りをかけないで自由に冒険する好奇心。いい気持ちは皆に伝わるから。大人になると大切な何かを忘れ、進む道が見えなくなるけど、この世界にはきっとまだ知らない沢山の出逢いがある。ファンタジーを心の片隅に保っていると見えないものが形になってつながる。向こうの世界に足を踏み入れると、悲しみも優しさも美しさもそのままに、感じることができるのだろう。2022/11/25
へくとぱすかる
50
刊行から約20年。当時は『魔女の宅急便』がまだ未完結。アニメのほうを注目してしまうので、原作者のエッセイも読んでおきたいと思って手にとる。幼年時代の思い出から、『魔女の宅急便』が生まれるまで、作者が物語にどんな思いを込めたかがつかめるように感じた。物書きを始めるにあたって、ブラジルでの生活経験が大きな役割を果たしていることがかかれている。急に思いついたのではなく、おぼろげながらもだんだん形をとっていった経過がおもしろい。魔女という存在について、作品を書いてから詳細を知ったとも。原作をぜひ再読してみたい。2024/05/10
ふじ
23
今月は角野さんに浸ってましたが、最後にこれを読み、見えないものを大事にし、言葉の意味だけによらない表現を心がけるその姿勢、すごくステキにうつりました。好きな作家さんにまた出会え、満ち足りた気分です。作家デビューが30代半ば。人生何があるかわからないし、好きな、夢中になることに、ずいぶん時間がかかっても出会えるんだなと希望が持てました。2018/04/30
miu
23
角野栄子さんのお人柄と生い立ちがよーくわかるエッセイ。それからあの魅力的な魔女キキが生まれた時のお話も。わたしが『魔女の宅急便』と出会ったのは小学生のとき。ジブリ映画になる前に、祖母が面白そうだからとプレゼントしてくれた。角野さんと同じく空想好きの子供だったわたしはもぅ夢中!あのワクワクのルーツは角野さんがブラジル移民として船に乗っていたところから。そんな背景があったなんて!お父様とのエピソードも素敵。あの時の気持ちで、もう一度キキに会いたい!2016/01/05
柳 真佐域
18
角野栄子さんの自伝。冒頭は幼少期の自分とそのとき起きた事柄からどう感じ、それが作家としてどう関わっていたのかと綴り、魔女の宅急便の誕生秘話やブラジルに移民した話などが書いてあった。角野さんがどうゆう人となりで、何を思いながら物語をかいているのかが分かってすごくためになった。物語が自分にとってどういうものなのかを考えさせられて、どう向き合ったら良いのか指針となるものが出来た気がする。角野さんの世界は優しさに満ち溢れていて、読んでいて心が温かくなる。世界の見方変える、「きれいはきたない、きたないはきれい」2018/05/19
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