内容説明
紀元前からわたしたちの生命を脅かしてきた天然痘、ペスト、ハンセン病…。これらの感染症に、人類は翻弄されただけではない。病原体をつきとめ、治療法や予防ワクチンの開発に奔走した人びとがいた。今度は、新型インフルエンザやエイズなどの新たな脅威に、免疫やウイルスなどの知識を身につけ立ち向かおう。
目次
序章 エリザベートとハンセン病
第1章 神の仕業から病原体発見へ
第2章 天然痘根絶への道
第3章 ペストの歴史から学ぶ
第4章 身近に迫るエイズ
第5章 風疹と麻疹
第6章 新型インフルエンザの脅威に備える
終章 いのちのあたたかさ―あとがきにかえて
著者等紹介
岡田晴恵[オカダハルエ]
1963年埼玉県生まれ。順天堂大学医学部大学院博士課程中退。科学技術庁重点支援研究員を経て、アレクサンダー・フォン・フンボルト奨学研究員としてドイツマールブルク大学ウイルス学研究所に留学。国立感染症研究所ウイルス第三部三室研究員。医学博士
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
40
【コロナ10】高校生にやさしく語りかけ、いのちの大切さ、それを守るための感染症への心構えを静かに訴える。なめらかな語りに知らぬ間に感染症のひととおりの基礎知識を得ることができる。まずハンセン病から説き起こすのがうまい。日本のらい予防法の問題というより、中世における偏見と差別のことだ。ペストは黒死病(14世紀)のユダヤ人への迫害をクローズアップする。病原体の発見や天然痘の撲滅で医学の成果を、ひとまずは称揚した後で、エイズと麻疹へのひとり一人の対処の大切さを訴え、最後に新型インフルエンザ(鳥インフルエンザ)↓2020/05/07
ぐっち
24
天然痘・ペスト・エイズ・はしか・インフルなど、感染症の歴史を中高校生に説明してくれる一冊。2004年に出た本だが(今年の増刷の時に書き換えているのでなければ)、「もし新型インフルエンザが出たら…」からの文章が、まさに今のコロナの状況を的確に予想している。これ2004年から医療現場の肺炎の重症患者へ対応できる数を増やしていれば、今こんなに慌てなくてよかったんじゃないかな、と思った。読み終わってから、著者が今ネットでたたかれぎみの方だと知り(番組は見ていないので)、ちょっと複雑。2020/05/02
白義
24
感染症の恐ろしさはその症状だけではなく、社会的偏見や戦争の災禍などをさらに煽り、負のスパイラルを拡大させる連鎖反応にもあると言えるだろう。本書では天然痘やペスト、インフルエンザを例に取り歴史から感染症の恐怖、そしてそれに対する人類の抵抗を丁寧に描いた、入門書として良質な一冊。一つ一つの感染症から、ワクチンの重要性や避妊、公衆衛生の重要性など、感染症対策の歩みや科学的メカニズムまで基本がエピソードと共にすんなり入ってくるこなれた筆致がいい。感染症関連の本の1冊目として良心的で、まず抑えるべきとこを抑えられる2015/08/04
まいん
23
中世ヨーロッパ時代の黒死病からペスト、エイズ、麻疹、新型インフルエンザなどの病症や対策方法、感染経路についてとても詳しく書かれていました。めちゃくちゃわかりやすいです!最後あたりの新型インフルエンザがもし流行ったら…という内容の部分、まさに今起こっていることです。未来予知みたい…。早くコロナ治ってほしいですね。2020/05/06
Satoshi
12
今だから読むべき本かと思い、手に取った。天然痘、ペスト、エイズ、新型インフルと人類は数多くの疫病と戦い、誤解により患者を差別し、克服した。新型コロナも同じ流れで克服されるのであろうが、3月1日時点で情報が不足しており、解決には至らない。東京オリンピックまでに収束するのかは我々次第か?2020/03/01
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