出版社内容情報
「厳格で過激な宗教」と思われがちなイスラーム.教えの基本,礼拝・断食など日常の規定,死や来世の考え方,民間信仰など,世界に10億の信者がいるイスラームの,実は柔軟性にとんだ素顔を紹介する.真の異文化理解への必読書.
内容説明
「イスラーム=過激な宗教」という印象を与える時事ニュースが多いが、本当にそうなのだろうか。教えの基本、礼拝をはじめとする日常の義務規定、結婚、死や来世の考え方、民間信仰など、世界に一〇億を超える信者をもつイスラームの、実は柔軟性にとんだ素顔を紹介する。真の国際理解・異文化理解のための必読書。
目次
1 イスラームとの出会い
2 イスラームの成り立ちと広がり
3 ムスリムの一生
4 ムスリム社会の一年
5 ムスリムと民間信仰
6 イスラームと日本
著者等紹介
清水芳見[シミズヨシミ]
1956年新潟県生まれ。1981年東京外国語大学アラビア語学科卒業、1989年東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程修了。ヨルダン・ハーシム王国ヤルムーク大学客員研究員、ブルネイ王国大学客員研究員などをへて、現在中央大学総合政策学部教授。専攻は社会人類学
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
312
本書の初めの部分にも指摘されているが、我々のイスラームに対する知識は、何と欧米のそれによって曇らされていることか。もっとも、欧米がそれを日本に強いたのではなく、我々が自らそれに疑問を持つこともなく営々と受け入れてきたのだ。その原因は、端的に無関心である。私も全く同様なので偉そうなことは言えないのだが。ムハンマド(マホメット)、イスラーム(イスラム)、クルアーン(コーラン)―これは、単に表記だけの問題ではない。イスラームを知ろうとするかどうかの問題なのだ。今、これほどすぐれたイスラーム入門書は見当たらない。2015/11/10
mt
41
イスラーム世界には国や土地の文化と柔軟に溶けあい、様々なイスラーム(「教」をつけるのは誤り)が育まれてきた歴史がある。日々の祈りからラマダンに加え、生活の中に入り込む細かな信仰の営みは、仏事があって始めて仏教徒になる私からすると少々窮屈に感じるが、10億人を越える信者を擁する三大宗教の一つであるイスラームの存在は途方もなく大きい。奇しくも、本書とパリの多発テロに関する新聞記事を同時読みすることになったが、報道で頻繁に目にする「ジハード=聖戦」という言葉の本来の意味は「努力」や「奮闘」であることも学んだ。2015/11/19
syota
23
読友さんの書評を読んで手にとった本。「ジュニア新書」とは言いながら、内容は知らなかったことばかり。「イスラーム」と「ムスリム」の違いさえ知らなかった。日本では、イスラームに対する正しい理解がない中でISなどの過激派だけが大きく報じられ、狂信的でうさんくさい宗教、という誤解が広まっている。本書は、イスラームの基礎知識とそれを信仰する人々の生活ぶりを、現地体験を交えて客観的に易しく伝えてくれる。コワモテの印象とは逆にかなり柔軟な面もあり、その辺が信者10億人にまで拡大した理由か。大人も手に取るべき良書と思う。2015/11/17
kei
17
イスラームについて書かれた本。ジュニア文庫なのになかなか難しいと感じるのは今までの関りが薄いからでしょうか。イスラームは現在急速に信者数が増えているそうですが、日本ではイスラームの男性と結婚した女性が改宗するという形で増えているそうです。その形でしか増えていないことと都市部に集中しているため、地方には日本人のイスラーム信者はとても少なく理解が進んでいないため、宗教上禁止されていることをしてしまい問題になってしまう点が挙げられていました。2017/04/11
Shoko
16
学校で習った「イスラム教」は、欧米や中国を経由して入ってきたもので、表記からして、正しくないということ。(イスラーム=宗教名なので教は付けない)。柔軟に土着の文化と融合して、世界中に信者が増えていったこと。 イスラームはアラブ人の宗教だと思っていましたが、ムスリムが1番多いのは、インドネシアとのこと。異文化を正しく知ることによって、異文化を尊重することができる。全くその通り。新年から勉強になりました。ジュニア新書って初めて知ったけど、良いな、と思いました。2016/01/03




