出版社内容情報
キリシタン殉教と西洋文明受け入れの歴史で知られる長崎は,一九四五年八月九日,原爆により一瞬のうちに死の街と化した.長崎の生存者の証言や追悼碑の案内,平和への歩みをつづった旧版を,被爆五十年を機に全面改訂.原爆投下に関する新事実を加え,核をめぐる新しい状況の中での平和運動の展開を伝える.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
39
長崎原爆忌にあたって、ぜひとも関連本を読んでおきたいと思った。広島に比べると、単独で長崎原爆を扱った本が少ないことが気になるが、読んだ後、どちらも決して忘れてはなるまいと改めて感じた。戦争が終わったのに、被爆者の置かれた理不尽な扱いは、「人類」という大きな目と感覚で見ることをしない者の身勝手ではないか。未来は右も左も宗教も国籍も関係なく、争いのない世界であってほしい。2016/08/09
へくとぱすかる
37
長崎原爆の日に。79年前の8月9日にいたる長崎の歴史と、その日、そして戦後の被爆者のあゆみ。とりわけ戦後、平和が訪れたはずの日本で、被爆者がなおも苦しみ続けていること、助けを求める当然すぎる人道的発言が、政治の力によって封じられたり軽んじられたりされてきた事実。忘れられてはならないのは、原爆の落ちたその日だけではなく、それからの80年近い歳月の中身全部だということ。残念ながら新版の刊行からでさえ30年近いのに、今も核の脅威は消えていない。「核の冬」の恐ろしさもちょっとでも理解があればわかるはずなのに。2024/08/09
tegi
3
16世紀のポルトガル人来航から説き起こす通史としての前半は非常によかった。後半は1995年時点の網羅的な被爆者運動紹介になっていてそろそろ更新・追記されるべきだろうと思うのだが、2019年にも増刷されているのがちょっと不思議。岩波少年文庫というフォーマットから考えても、時代の感覚(さらに言えばこの時代の運動関係者の感覚)は定期的に客観視して再構成されてほしいと思った。2020/12/28
活字の旅遊人
3
長崎土産。
トッシー
3
故郷長崎を離れて既に40年になりますが、毎年8月9日が近づくと、小さい頃に聞いた原爆の話や歌、好きではなかったあの巨大な平和記念像を思い出し、ナガサキと平和への思いを新たにします。この本のことは全く知らなくて、最近たまたま本屋さんで見かけたので、これは必読!と思って買いました。発行は1995年で既に25年前なので、この本に出て来る語り部の方たち(私の親の世代)も亡くなられていると思いますが、「長崎を最後の被爆地に」という願いは、私たちの世代が次の世代に引き継いでいかなければとの決意を新たにしています。2020/07/23
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- 日本漢字全史 ちくま新書