出版社内容情報
障害をもつ人にとって，街は，社会はどうあればいいのだろうか．街を車イスで進もうとすると，どんな困難があるのだろうか．電車やタクシー，トイレ，役所はどうか．学校や会社はうけいれてくれるのか．家族や友達に支えられながら，自ら道を切り開いてきた車イスの弁護士が，子供のころからの体験をとおして語りかける．
内容説明
障害をもつ人にとって、街は、社会はどうあればいいのだろうか。街を車イスで歩こうとすると、どんな困難があるのだろうか。電車やタクシー、トイレ、投票所はどうか。学校や会社はうけいれてくれるのか。家族や友達に支えられながら、自ら道を切り開いてきた車イスの弁護士が、体験をとおして語りかける。
目次
１ さめない夢
２ 障害を認識する
３ 車イスとの出会い
４ 車イスの弁護士
５ 私の一日
６ 街のなかで
著者等紹介
村田稔［ムラタミノル］
１９３７年三重県生まれ。同志社大学法学部卒業。７２年、弁護士となる。東京弁護士会所属。労働省障害者雇用審議会委員。生後一年半でポリオにかかり、両足の自由を失う。現在、車イスで法廷活動をつづけている
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
102
１９９４年の本です。車椅子のあらゆる対策が未整備だった子供の頃から、１９３７年生まれの筆者がどう生きてきたかを紹介。スロープのない階段での車椅子の扱い方、入浴の仕方、洗面台の下に棚があると近づけない点、使えるトイレがないので我慢する辛さ。踏切の怖さ、横断歩道がない歩道橋だけの交差点で迂回して数十分の不便さ。運転免許を取得！車の乗降方法の写真解説等々…。高校時代の友人３人と、片道４kmの美しいリレー通学は友情溢れる。社会をより良くするため、恥ずかしかったが思いきって書いてみた本。その気持ちを受け取りました。2019/09/28
糜竺(びじく)
42
1994年6月発行本。赤ちゃんの頃から足が動かず、ずっと車イス生活をしてきた弁護士である、村田稔氏が書いた一冊です。私は今の所、五体満足で過ごす事が出来ていますが、車イスの方の目線というか生活の仕方について考えた事が無かったので、あらためて私自身、勉強になりました。意識しなければ全く気付かないような点が、車イスの方には非常に不便であったり、大変だったりする点が多々ある事にとても気付かされました。読む前と読んだ後では、車イスの方への見方が変わった気がします。そういう方の権利を尊重する大切さが分かりました。2019/01/01
AICHAN
33
図書館本。著者は幼児のとき小児麻痺になり四肢が麻痺した。腕の麻痺はその後だいぶ回復したが、脚の麻痺はしっかりと残り、一生治らない下肢麻痺のからだになる。昔のことで著者の若いころには車椅子などはなく、親は学校の送り迎えなどに苦労した。苦学の末に大学を卒業し司法試験挑戦の後、弁護士となる。クルマの免許を取ったので移動はだいぶ楽になったが、街のいたるところは車椅子の著者にとって高い壁だった。現在はずいぶん車椅子に配慮した街になっていると思っていたが、いたるところに車椅子では対応できない箇所があることを知った。2019/02/14
ヴェネツィア
23
著者の少年期から現在に至るまで、車イスは大きな進歩を遂げたようだ。かつては大型の３輪自転車のようだった車イスが、現在では随分と機能的でコンパクトなものになった。しかし、翻って周りの環境はどうだろうか。歩道橋はいうまでもなく、歩道そのものでさえ車イスには不都合なことがたくさんありそうだ。また、そうした物理的な問題と共に、車イスマークのついた駐車場に平気で車を駐めるなど、精神的なモラルの問題もまた厳然としてそこにあるだろう。著者は言う「車イスの人のことを忘れた街はみんなの街とはいえません」。2012/11/12
にゃんころ
8
車イスで生活をしている弁護士の著者。私の見る景色と同じものを見ているはずなのに、視点の高さが違うだけで大きく変化する。普段気にならないところが、車イスを利用している方たちにとっては大変なことも。約20年前に書かれているので、その当時からは幾分かは改善されているとは思いますが、著者の言う『みんなの街』にはまだまだなれてはいません。段差やスペースの問題だけではなく、排泄や天候の問題など読まなければ知り得なかったことがたくさんあり、色々と考えるきっかけになりました。2016/03/16
