出版社内容情報
日本の公害問題の原点といわれる足尾鉱毒事件.常に被害農民の立場にたって明治政府を追及し,強制破壊に瀕した谷中村で身を賭して抵抗運動を貫いた田中正造(一八四一‐一九一三)は,そのなかで地球環境問題の先駆的思想をも育んでいった.農民と共に戦った彼の壮絶な足跡をたどり,その思想を現代に生き生きと蘇らせる.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
著者の生き様を学ぶ庵さん
34
書き振りが反体制派のアジテーション文書のようなので、筆者の主張をストレートに受け取りにくいが、田中正造の生き様が如実に描かれていることは間違いない。2016/09/24
シュシュ
30
TVの100分で名著『苦海浄土』で足尾銅山の話が出たので読んでみた。ジュニア新書なので、読みやすかった。田中正造が孤軍奮闘するのを読んで涙が出た。国が憲法を守っていないと訴え、天皇に直訴までしようとした。国は企業を守り、国民を見捨てる。弱者に対する国の対応があまりにひどいが、今も明治の頃と変わっていないと思う。「国民監督を怠れば治者盗を為す」国民が監督を怠ると国を治める者が盗みを働く。「真の文明は山を荒さず、川を荒さず、村を破らず、人を殺さざるべし」2016/09/30
ロビン
19
日本の公害問題の原点と言える足尾銅山鉱毒事件で、死のその時まで被害農民の立場に立ち、横暴にも強権をふるった政府に対して最後まで抵抗をつづけた田中正造の評伝。権力との闘争ゆえに(一度は殺人事件の冤罪であるが)人生で四度の投獄。信じた立憲主義、議会政治への苦い幻滅。政府の姑息な被害農民の離間策、味方だった者の裏切り。老いた体で、数々の辛酸を舐めながら、それでも翁に諦めはなかった。最後まで戦う姿勢を崩さなかった。そこが凄いと思う。そしてそんな正造と共に残った愛弟子島田宗三や少数の人々も。熱い本であった。2024/01/30
takeapple
8
栃木県人として田中正造については、きっちり評価したいと思う。あのような人が、保守王国栃木から出た謎がずっと引っかかっていたけれど、保守って本来昔から延々と続くものを大事に守っていくということだから、人々の平穏や自然を守りたかったということなのだろうか。2012/06/17
たつや
5
児童書コーナーが最近のマイブームです。適当に借りてみたが、当たりでした。面白く読め、感動しました。明治期に足尾鉱毒事件で公害をはじめて訴えたパイオニア。投獄された際に新約聖書を読んでいた事に興味を持ちました。渡良瀬川に行く機会があれば、史跡を巡りたいと思う。2024/04/01
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