岩波新書<br> 曖昧な弱者の時代

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岩波新書
曖昧な弱者の時代

  • 伊藤 昌亮【著】
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  • 岩波書店(2026/05発売)
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  • サイズ 新書判/ページ数 220p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004321125
  • NDC分類 361.8
  • Cコード C0236

出版社内容情報

SNSで駆り立てられた「正義」。「真の弱者」から向けられた「偽りの弱者」への怒り。多くの人々が「この社会で損をしている」という思いに突き動かされている今、社会の至るところで噴出する「敵意」や「憎悪」から、私たちは何を聞き取るのか。そして、どう向き合うべきなのか。もっともクリティカルな日本社会論!


【目次】

 はじめに
  「弱者叩き」と「弱者争い」
  「曖昧な弱者」が「明白な弱者」に敵意を抱く
  リベラル派への反感――誰が誰を守るのかを誰が決めるのか
  本書の構成
  「高市現象」以後の社会を見守っていくために

第1章 ひろゆき論――「ダメな人」のための「優しいネオリベ」
 若い世代からの支持とリベラル派への反発
 プログラミング思考で権威に切り込む
 ライフハックによる自己改造と社会批判
 「ダメな人」のための「優しいネオリベ」
 リベラル派が嫌われるわけ
 情報強者の立場からのポピュリズム
 差別的な志向と陰謀論的な思考
 おわりに

第2章 山上徹也の閉ざされた政治的世界――残されたツイートの分析から
 調査の概略
 ネトウヨにならざるをえなかったネトウヨ
 ジョーカーの真摯な絶望
 なぜリベラル派を嫌うのか
 ネトウヨになりきれなかったネトウヨ
 権力/反権力/反・反権力
 ネオリベラリズムの内面化
 出口のない迷路の中で

第3章 「石丸現象」とTikTok――若者世代のリアリティに即して
 TikTok動画の内容分析から
 「対決型」の背後の「応援型」の姿勢
 前政治的な領域での自己啓発的な呼びかけ
 ネオリベラリズムの内面化とリベラリズムの額面化
 成長が困難な時代の成長戦略として
 社会的弱者への配慮と福祉政治
 「永遠の若者」にとっての「石丸現象」の意味

第4章 「オールドなもの」への敵意――左右対立から新旧対立へ
 左右対立よりも世代間対立?
 Xの分析から見えてくる真の争点
 マイナ保険証をめぐる動き
 「オールド連合」対「ニューなわれわれ」
 弱者のためのネオリベラリズム
 世代間格差の背後にあるもの
 おわりに

第5章 財務省解体デモの論理と心情――取り残された人々の財政ポピュリズム
 思考実験から陰謀論へ
 「もらえるお金を増やす」のか「取られるお金を減らす」のか
 「小さな政府」ポピュリズムか「大きな政府」ポピュリズムか
 左派の運動か右派の運動か
 「高級」な運動から取り残されてしまった人々

第6章 参政党「真ん中」からの反革命――彼らはなぜ支持されたのか
 「共感調達パート」と「コア主張パート」
 積極財政で「真ん中」を守る「真ん中」が傷んでしまっている時代に
 福祉排外主義と投資排外主義左から入って右に行く
 「空を守る」のか「土を守る」のか
 「尖端的な言語」と「土俗的な言語」

第7章 「曖昧な弱者」とその敵意――社会分断の今日的構造
 高市氏は冷たいのか優しいのか
 誰が弱者なのか
 「曖昧な弱者」の発生
 「曖昧な弱者」が「明白

内容説明

SNSで駆り立てられた「正義」や、「真の弱者」から向けられた「偽の弱者」への怒り…。多くの人々が「この社会で損をしている」という思いに突き動かされている今、社会の至るところで噴出する「敵意」や「憎悪」から、私たちは何を聞き取り、どう向き合うべきなのか。クリティカルな日本社会論!

目次

第1章 ひろゆき論―「ダメな人」のための「優しいネオリベ」
第2章 山上徹也の閉ざされた政治的世界―残されたツイートの分析から
第3章 「石丸現象」とTikTok―若者世代のリアリティに即して
第4章 「オールドなもの」への敵意―左右対立から新旧対立へ
第5章 財務省解体デモの論理と心情―取り残された人々の財政ポピュリズム
第6章 参政党「真ん中」からの反革命―彼らはなぜ支持されたのか
第7章 「曖昧な弱者」とその敵意―社会分断の今日的構造

著者等紹介

伊藤昌亮[イトウマサアキ]
1961年生まれ。東京外国語大学外国語学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。日本IBM株式会社、ソフトバンク株式会社勤務、愛知淑徳大学現代社会学部・メディアプロデュース学部准教授、ドイツ・エアランゲン大学日本学講座客員研究員などを経て成蹊大学文学部現代社会学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

うえぽん

47
現代社会論者による日本社会論。分析対象はひろゆき、山上徹也、石丸伸二、オールドなもの、財務省解体デモ、参政党、曖昧な弱者。賛否の分断が激しい題材だが、筆致は冷静で、現象の分析に加え、最後に社会の側に再考を促している点が特徴。最終章では、国民民主党、参政党、高市氏への支持に関し、明白な弱者(経済的には困窮者、文化的には被差別者)を敵視する曖昧な弱者(経済的にはロウアーミドル層、文化的には右派)との見立てで、分断から脱するには両者への支援が必要だとする。従来の物差しでは理解困難な題材を理解する補助線と言える。2026/06/24

buuupuuu

28
中間層から没落していく人々からすると、是正や再分配を行うはずの従来のシステムは、自分たちを救済の対象とは認定せず、むしろ自分たちから奪っていくようなものとして見えているという。そこにあるのは、共同的なものへの絶望、ネオリベラリズム的な社会観だ。そのような人々にとって左右の対立は表層的なものであり、実際には上下や新旧の対立の方が本質的だと感じられている。古いものを攻撃し、見捨てられたと感じている人々に寄り添うかのようなポーズを取ることで、一部のインフルエンサーやポピュリズム政治家は支持を獲得したのだという。2026/06/18

よっち

25
SNSで増幅される「正義」や「弱者叩き」の現象を、「曖昧な弱者」と「明白な弱者」の対立として鋭く分析する著者がどう向き合うべきなのかを問う1冊。ひろゆき氏の支持層、山上徹也容疑者の閉ざされた世界、石丸伸二氏現象、参政党支持といった具体的な事例を通じて、明白な弱者は支援の対象になりやすい一方で、曖昧な弱者は叩かれやすい状況、共通の被害者意識が、左右対立を超えた新旧対立や弱者同士の争いを生む実態を指摘していて、分断を出口のあるものに変えていくために何が必要なのか、どう向き合うべきか考えていく必要がありますね。2026/06/28

どら猫さとっち

19
大きな社会の分断のなか、次第に浮上している“曖昧な弱者“。その人たちはどこから来たのか。ひろゆき論、山上徹也、石丸現象、参政党など、それぞれの視点から読み解いていく、現在の日本社会論。本書を読むと、社会的弱者についてどうするか議論しないまま、受け入れようとしながら見過ごされてきた感じがある。それでも人間らしい生活を望んでいる私たちは、実現するために何をする必要があるか、考えなければならない。そこでも対立してしまう気がするのだけど。2026/06/07

崩紫サロメ

18
「曖昧な弱者」とは、障害者や外国人・LGBTといった「明白な弱者」とは異なり、自意識としては「真ん中」であるがロウアーミドルに属し、「真ん中」で苦しんでいるが顧みられていない人々を指す。彼らを励ます「優しいネオリベ」ひろゆきや、左右の対立から新旧の対立として描き直した国民民主党、「明白な弱者」に冷たく「曖昧な弱者」に優しい高市首相などを取り上げる。興味深いのは第2章で取り上げられた山上徹也。彼は保守にもリベラルにもネトウヨにもなれなかったが、それらへの鋭い批判には考えるべきところが大きいだろう。2026/07/05

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