出版社内容情報
五感を働かせた体験に基づいて感情を伝え合い、共感を育む日本の国語教育は、世界から遅れた弱みではなく、AI時代にこそ強みとなる。人間と自然の関係を結び直し、共感的利他主義をベースに政治・経済・法・社会の多元的思考を使い分け、他者と協働する力を養う。価値観の転換を迫られる世界で求められる教育がここに。
【目次】
はじめに――社会と教育の大転換
序 章 近代の矛盾とポスト近代の価値観
1 近代の特徴――四領域の機能の分離
2 近代社会の問題――肥大化した経済領域と資本主義
3 近代の矛盾の核心――自然と切り離された人間
4 新パラダイムの社会像――近代の矛盾を超えて
5 ポスト近代の価値観とは――利他に基づく「少ないほうが豊かな社会」
6 ポスト近代へのスイッチ――西洋近代資本主義と日本型資本主義
第一章 四つの教育原理――教育文化のモデル
1 教育の世界的潮流――その隠れた課題
2 教育の四つのタイプ――教育の目的と手段
第二章 共感の論理――社会原理の日本の教育
1 作文教育の隠れたカリキュラム
2 伝統的価値はいかに守られたか
3 なぜ日本の社会と教育が新パラダイムのモデルになるのか
4 多元的思考の必要性
第三章 教育のグランドデザイン――利他と多元的思考を育む
1 新パラダイムのリテラシー(読み、書き、思考する力)
2 リテラシーと社会化
3 文章様式による段階的作文教育
4 段階的読解教育
5 日本の来歴を知る――文化資源としての知識
コラム 文章の目的と様式を意識させる訓練
終 章 日本から始まる新しい秩序――利他と多元的思考が拓く未来
日本の教育への三つの提言
おわりに
参考・引用文献リスト