出版社内容情報
劣化し続ける政治への不信は、いつしか諦念となり、政治を語ることが忌避される社会が訪れている。このまま為政者に未来を委ねてしまってよいのか。自己責任論から脱し、一人一人の身近な現実をもとに政治を語り合うことから始めたい。人間の生を真摯に見つめる小説家が、現代、そして未来を鋭く問い続けてきた発言の記録。
【目次】
Ⅰ 政治問題として考える
「政治について語ること」
多様性と合意形成
主権者教育なき日本
「目的の正義」と「手段の正義」
批判は未来のリスクの回避
「野党は批判ばかり」批判
命令法の言葉
格差社会と仮想空間
メタバースの政治参加
お金を渡すことは失礼か?
「ウサギとカメ」はどんな話だったか?
政治家の人間性の評価
芸術とは何か?
Ⅱ 未来の手前で
のび太として考える
節約される時間、費やされる時間
リスク管理と監視
身体の痛みと所有感覚
「夢のクチュリエ」展――「趣味」に抗する価値体系
「カッコいい」とは何か?
自由と平等を維持するインセンティヴ
企業が科すペナルティ
エスカレーターは片側を空けるべからず
気候変動と都市インフラ
絵画への攻撃は正当化され得るのか?
住む場所の選択
人類史と各国史
移民と歴史的知識
個人データを巡る激動
悪筆とトラベラーズ・チェック
Ⅲ 「正義」を巡って
複雑さと予測困難に耐えて
防衛予算の過度の増額
貧しき軍事大国化
外交とは何か?
素朴に戦争に反対すべきである
新型コロナの対策
「専門家」の評価
新しい技術と民主主義
ウィズ・コロナと住環境
「世界の真ん中で輝く」の厚顔
韓国元徴用工問題
日本学術会議問題
NHKの政治報道
メディアの健全化は、政治家個人の仕事にあらず
犯罪報道でも相談先の明記を
五輪が阻害する未来の展望
東京五輪開催理由の空虚
五輪選手の沈黙
旧統一教会と自民党
Ⅳ 成熟のための時間
「ありがとう」という妙な言葉
教育のグランドデザイン
子供が育つということ
父であり子であること
子供の教育方針
年齢と同一性
死者を語る
死後の作品
ライフログの行方
「国民総時間」の減少
「役に立つ人間」
子供を三人以上育てるとは?
ベビーカー論争
社会福祉は損なのか?
注
あとがき