出版社内容情報
一五二五年、宗教改革の渦中、幼児洗礼を拒むキリスト教の一派が誕生した。異端として迫害されながらも聖書の教えを守り、非暴力を貫いた彼らの信仰は、戦争の止まない現代に生きる私たちに何を語りかけるのか。メノナイト、アーミッシュ、良心的兵役拒否、被爆者の日米交流まで、五〇〇年にわたる愛敵と赦しの軌跡を辿る。
内容説明
一五二五年、宗教改革の渦中、幼児洗礼を拒むキリスト教の一派が誕生した。異端として迫害されながらも聖書の教えを守り、非暴力を貫いた彼らの信仰は、戦争の止まない現代に生きる私たちに何を語りかけるのか。メノナイト、アーミッシュ、良心的兵役拒否、被爆者の日米交流まで、五〇〇年にわたる愛敵と赦しの軌跡をたどる。
目次
第1章 複数の宗教改革
第2章 迫害と離散―ヨーロッパの片隅で
第3章 追跡する国家
第4章 新天地アメリカ
第5章 近代国家と徴兵制
第6章 両大戦の試練
第7章 核の時代の非暴力主義
終章 ノンレジスタンスの限界と可能性
著者等紹介
踊共二[オドリトモジ]
1960年福岡県生まれ。1983年早稲田大学第一文学部卒業、1991年同大学大学院文学研究科博士課程を満期退学、2002年同大学博士(文学)学位を取得。武蔵大学リベラルアーツ&サイエンス教育センター教授。専攻―スイス史、中近世ヨーロッパ史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たま
69
ルター後のプロテスタント諸派の中で特に再洗礼派-メノナイトとアーミッシュの非暴力主義に焦点を当てる。ガンディーらの非暴力抗議運動とは異なり、理不尽な暴力を前にしても抵抗もしないのだが、歴史的に敵視され迫害されてきた※。ウクライナ戦争が始まった時、ウクライナは戦わずに降伏しろと言う意見をネットで散見したことを思い出す。戦争は誰でも嫌だが、戦争を防ぐために何をすればよいか。戦争になってしまった時どうするか。アーミッシュと言えば19世紀の服装をして馬車に乗っている人たちと思うが、彼らが提起する問題は今日的。 2025/04/23
skunk_c
66
ルターの宗教改革の頃、その聖書主義を徹底していく中、山上の垂訓を徹底する宗派が出現、それが大きく「再洗礼派」で括られるプロテスタントの一派で、本書はその出現といわゆる少数派としての苦難の歴史を丹念に解きほぐしている。元々はドイツやスイス、オランダに多かったが、特に徴兵制との兼ね合いもあり、アメリカに移住、メノナイトやアーミッシュとして、ある程度の幅を持ちながらも、そのノンレジスタンスと赦しの信仰を保ち続けているという。ガンディーやM.L.キングとの関連、さらには日本との関わりを含め論じているのが意義深い。2025/02/12
松本直哉
23
最も原初的な思想こそが最も独創的である、その見本のようなものが再洗礼派だろうか。非暴力無抵抗のイエスに倣い、いかなる暴力も兵役も拒否する姿勢は、その無防備ゆえにかえって恐れられ、迫害の対象となったが、断頭台の上で「あなたを赦します」と告げられた首斬り役人が深く心を動かされた逸話にある通り、敵への愛が敵を友に変えた例もある。徴兵制の広がりや二つの世界大戦は彼らに大きな試練を与えたが、転向する者だけでなく堅固に信仰を守り抜く人々もおり、その中の一派が、文明の利器を拒んで質素に暮らすアーミッシュである。2025/10/03
乱読家 護る会支持!
5
イエス・キリストの非暴力の教えを、忠実に守り抜いたキリスト教徒のグループ「再洗礼派」(メノナイト、アーミッシュ、フッター派)。 キリスト教徒の本流からは、異端として迫害されながらも、聖書の教えを守り、非暴力を貫いた彼らの信仰を追う本です。 キリスト教が世界三大宗教となったのはローマ帝国と結びついて、敵(異教徒、異端教徒)と味方(同派信徒)を分ける根拠を作り、他国の侵略を正当化させたことにあります。 キリスト教徒の主流派が非暴力主義を貫いていたら、現代までキリスト教は残っていないでしょうな。2025/08/30
sk
4
ニッチな歴史。とても良かった。2025/02/12
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