出版社内容情報
全体主義が台頭して破局へと向かうヨーロッパからアメリカへ渡り、産業社会と企業、そして働く自由な人間に未来への可能性を見出したドラッカー。最晩年の肉声に触れた著者が、内なる怒りと恐怖に静かに向き合う、アウトサイダーとしての実像を描き出す。明るい本を書き続けた「マネジメントの父」に、新たな光を当てる。
内容説明
全体主義が台頭し、破局へと向かうヨーロッパから新天地アメリカへ。そこで、産業社会と企業、そして働く自由な人間に未来を見出したドラッカー。その最晩年の肉声に触れた著者が、内なる怒りや恐怖と対峙する、アウトサイダーとしての彼の実像を描く。明るくなれる本を書き続けた「マネジメントの父」に、新たな光を当てる。
目次
第1章 破局 一九〇九‐一九二八
第2章 抵抗 一九二九‐一九四八
第3章 覚醒 一九四九‐一九六八
第4章 転回 一九六九‐一九八八
第5章 回帰 一九八九‐二〇〇五
終章 転生 二〇〇六‐
著者等紹介
井坂康志[イサカヤスシ]
1972年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(商学)。現在―ものつくり大学教養教育センター教授。専攻―経営学、社会情報学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あらたん
57
「マネジメントの父」ピータードラッカーの伝記。現代の偉大な哲学者、預言者。企業の社会的責任や非営利団体の重要性など、現在の課題を遥か昔に予言していたすごい人。日本人はドラッカーが大好きだが、ご本人もかなり日本を好いてくれていたんだな。2025/01/29
なかしー
48
ドラッカー氏ー親交のある上田惇生ーものづくり大学ー教授(本著者) 「マネジメントの父」と呼ばれるP.F.ドラッカーの生涯について振り返り、彼の実像に迫る作品。悪筆で苦労した幼少期、戦争をきっかけに故郷から追われる青年期、新天地でアウトサイダーの一匹狼として、学術会から一定の距離を保ちつつ、実際の経営に肉薄する提言を挙げる。尚、米国の経営学ではドラッカーは取り扱われない。氏曰く私の経営学は学問としての経営学ではないは秀逸。今で言う経営コンサルみたいな職業という認識に近いかなと個人的には思った。2024/12/31
koji
18
ピーター・ドラッカーという巨人の一生を、無駄を省いた文体と適切なエピソードの挿入で、丹念に丁寧に追いかけた労作です。著者は、「マネジメントの父ドラッカー」は表の顔に過ぎず、その裏側には、全体主義批判、哲学、文学、芸術を基盤とした「問い」の体系を作り上げ、ドラッカーに触れた人が内省を求め自覚的な行動を促す実践の人であったと言います。私の感想ですが、本書を読んで漸く「ドラッカーの著作を読んでいた時に感じた『経営論の底にあるわからなさ』の正体が掴めました。もっとそこを感じ取れればと悔いが残ります(コメントへ)2025/04/06
タナカとダイアローグ
15
本を読むようになったきっかけが、2003年頃で「ポスト資本主義社会」だった。大学の友人が抱えている真っ赤な本に憧れて読んだ。ゼミの教授が全集を買ってくれて(資金源は内緒)、全部は読めていないけど、卒論のテーマは「全体主義と対抗するためのマネジメント思想」だった。井坂先生のご著書(文眞堂、大著につき読めていない…)からエッセンスを抽出したのだと思うけど、岩波新書でエッセンシャルに出版してくださったのは本当に良かった。人生と本が時系列に整えられていて、素晴らしいガイドになるし、読み物としておもしろい。2024/12/31
井の中の蛙
11
ドラッカーの人物像に迫るような本だった。キルケゴールや日本美術への傾倒や、後半生では企業よりも非営利組織に多く関わっていたことを知った。面白かった。2025/04/14
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