出版社内容情報
アジアや東欧の民主化の先駆けとなったピープルパワー革命から約40年。国を追われた独裁者の息子が大統領となり、父の戒厳令下での人権侵害や蓄財の記憶が消されようとしている。SNSが偽情報を拡散し、伝統メディアが衰退する今、フィリピンの民主主義の姿は。長年の現地取材から描く渾身のルポ。
内容説明
アジアや東欧の民主化の先駆けとなったピープルパワー革命から約40年。国を追われた独裁者の息子が大統領に当選し、父の戒厳令下で行われた人権侵害や蓄財の記憶が消されようとしている。SNSが偽情報を拡散し、伝統メディアが衰退する今、フィリピンの民主主義の姿とは。長年の現地取材をもとに描く渾身のルポ。
目次
第1章 フィリピンの「発見」から独立、独裁まで
第2章 エドサ政変からふたつめのアキノ政権まで
第3章 ドゥテルテの登場と麻薬撲滅戦争
第4章 政敵排除と報道の抑圧
第5章 史上最高のドゥテルテ人気とその秘密
第6章 ボンボン政権の誕生とソーシャルメディア選挙
第7章 ピープルパワー神話の終焉と新たな物語の誕生
第8章 歴史修正と政権交代の意味
第9章 東南アジアで広がる権威主義と民主主義の衰退
著者等紹介
柴田直治[シバタナオジ]
ものかき。朝日新聞記者(論説副主幹、アジア総局長、マニラ支局長、大阪・東京社会部デスクなどを歴任)、近畿大学教授などを経てフリーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
67
フィリピンといえばベニグノ・アキノの衝撃的な暗殺とその後のコラソン・アキノ大統領当選とマルコスのアメリカ亡命が印象的で、その後はドゥテルテというとんでもない大統領が出たというのが話題になった位で、あまり政治状況については目にしていなかった。本書はそのドゥテルテと後続したマルコスの息子ボンボンを中心に、民主的選挙制度の下で、報道の自由などの民主的諸権利が抑圧され、選挙でフェイクがSNSで乱発され、さらに同族に政治的リソースを分け与えるフィリピンの政治構造が詳述されている。これを選挙を伴う権威主義と呼ぶとか。2025/01/17
J
11
★★★☆☆ フィリピンの近現代史に関心がある日本人がどれだけいるかと言うと多くない気がする。それでも、少しでも関心がある人には非常に面白い内容となっている。ドゥテルテ前大統領の異常な人気の高さ、ノーベル平和賞受賞者への無関心、もしくは反感、あのマルコス大統領の息子が、なぜ帰り咲きができ、過去の事はでまかせだなととフィリピン人の多くが信じているのか、などなどずっと不思議に思っていたことが語られている。日本人の感覚からすると、かなりめちゃくちゃな国だと思う。2024/10/16
穀雨
7
ピープルパワー革命以来、東南アジアを一貫してウォッチしてきた元朝日新聞記者によるルポ。独裁者の息子がなぜ民主的な選挙で大統領になれたのかという問題設定には、多くの日本人が共感するのではないだろうか。官民ともに法律や憲法、行政命令などをいとも簡単に無視したり破ったりしているのにはおどろかされるが、それにはカトリック教国ならではの赦しの文化が底流にあるのではとの指摘は興味深い。2025/02/08
倉屋敷??
4
やっぱりドゥテルテは面白い。人気が出るのもわかる。 まぁ麻薬撲滅運動の内容はやり過ぎだと思う。 そもそも警察、関税がザルすぎるので意味がない。 まず公務員の収入を見直さない限り難しい。これはフィリピンに限ったことじゃないけど。2025/01/26
大道寺
3
audibleで聴取。あとがきで言及されているように私もフィリピンの政治にはすっかり関心がなくなっていた日本人の一人で、マルコス・シニアの息子ボンボン(最初日本語のボンボン息子のことかと思った)が大統領になっていてしかもドゥテルテ家と協力関係にあったなどということはつい最近その関係が破局し物騒なことになるまで知らなかった。ピープルパワー革命でマルコス家を追い出しても、次々と支配者の家名が変わるだけといった様相のある政治史で、それを許す文化の土壌がフィリピンあるいはアジアにはあるのかもしれない。2025/03/30
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