出版社内容情報
小川 幸司[オガワ コウジ]
著・文・その他
成田 龍一[ナリタ リュウイチ]
著・文・その他
内容説明
近現代の日本史・世界史を総合して、近代化、大衆化、グローバル化と私たちの歴史像を考える高校の必修科目が始まる。本巻では中国史、イギリス史、アメリカ史、アフリカ史、中東史の歴史家とともに、近現代史の名著を題材に、歴史研究の最前線や歴史像の形成過程、概念に基づく比較、問いや対話による歴史総合の実践を示す。
目次
1 近代化の歴史像(近世から近代への移行;近代の構造・近代の展開)
2 国際秩序の変化と大衆化の歴史像(帝国主義の展開;二〇世紀と二つの世界大戦)
3 グローバル化の歴史像(現代世界と私たち)
著者等紹介
小川幸司[オガワコウジ]
1966年生まれ。長野県蘇南高等学校校長。世界史教育
成田龍一[ナリタリュウイチ]
1951年生まれ。日本女子大学名誉教授。近現代日本史。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
120
2022年4月から高校で「歴史総合」の授業が始まった。この新書では近現代の歴史を5章に分類し、それぞれ3冊の課題テキストを提示し、歴史解釈・歴史批評・歴史叙述について論じた内容の濃いシリーズ1巻目。今までの事象の暗記科目であった日本史・世界史に変わり、国際秩序の変化や国家、民族、個人レベルでの歴史の捉え方にシフトする。現代の様々な社会問題につながる歴史または未来に向けて、この新書で紹介されている15冊はどれも読んでみたい。歴史観は時代と共に変化する。それをどのように高校で教えるのか?先生の腕の見せ所。2022/09/24
KAZOO
104
高校の世界史の授業で「歴史総合」という科目が始まるそうです。主に時代は近現代で日本・世界という範囲を取り払って総合的に課題を考察するということで我々の地域別編年体的な学習方法からすると大きな変換でうらやましい限りです。このシリーズでは3巻になる予定でこの本では近代化」「国際秩序の変化と大衆化」「グローバル化」に分けてどのように学習していけばいいのかが示されます。章ごとに3冊の課題テキストが示されそのテキストの内容について説明されています。最後に歴史への問いとさらに詳細なブックリストがあります。うらやましい2022/05/04
skunk_c
79
思いがけず来年度から歴史総合を担当することに。本書はその実施を射程にして、編者が有用と考える比較的平易な著作を紹介しつつ、その著者などとの対話を通じ、知識偏重になりがちな従来の歴史教育を打開する方向を模索している。並んだ書を見る限り、依然として西欧中心な印象は残るが、ほぼ的確な選択と思う。解説も丁寧で、グローバル・ヒストリーを強く意識したものになっている。途中紹介される参考文献も、ホブズボームなど自分がなじんできたものが多く、若い頃から考えてきた「大きな歴史」と通じるものがあり、やれそうな気がしてきた。2022/03/31
venturingbeyond
46
歴史総合の教材作成に悪戦苦闘中の連休に読了。すぐに教材化という訳にはいきませんが、何を中心に据えて授業を進めていくのか、色々とヒントをもらえました。全5章に編者とともに参加された5人が揃いも揃って豪華なメンバー。従来の単線的な進歩史観・ヨーロッパ中心主義ではない、各国史の重ね合わせではない近現代史を考えさせること、「近代化」・「国民国家」・「人種主義」・「世界システム論(中心と周縁)」・「総力戦」・「帝国主義」・「大衆化」などなど、しっかりと概念を定着させることを意識して、授業を進めねばと再認識した次第。2022/05/04
yutaro sata
40
高校では「歴史総合」という科目が始まるそうで。歴史を総合するとはなんぞや、というのがこの本を辿っていくと少し分かるような気がした。一国の歴史を単独で見ていく時代はもう終わっていて、世界の全てとの絡まり合いとしての現在というように見ていかないと、歴史の姿が分からない。だから歴史総合が生まれたのかなあと想像した。 学問寄りの本ということもあって、参考文献なども多数紹介されているので、勉強を深めるのにも便利かなと思う。2023/04/27