出版社内容情報
目はかゆく、鼻水は止まらない。この世に花粉症さえなければ--。毎年憂鬱な春を迎える人も、「謎の風邪」に苦しみつつ原因究明に挑んだ一九世紀の医師たちの涙ぐましい努力や、ネアンデルタール人以来の花粉症との長い歴史を知れば、きっとその見方は変わるだろう。古今東西の記録を博捜し、花粉症を愛をもって描く初めての本。
内容説明
目はかゆく、鼻水は止まらない。この世に花粉症さえなければ―。毎年憂鬱な春を迎える人も、ネアンデルタール人以来の花粉症との長い歴史や、「謎の風邪」に苦しみつつ原因究明に挑んだ人びとの涙ぐましい努力を知れば、きっとその見方は変わるだろう。古今東西の記録を博捜し、花粉症を愛をもって描く初めての本。
目次
第1章 花粉礼賛
第2章 人類、花粉症と出会う
第3章 ヴィクトリア朝の貴族病?―イギリス
第4章 ブタクサの逆襲―アメリカ
第5章 スギ花粉症になることができた日本人
第6章 花粉光環の先の世界
著者等紹介
小塩海平[コシオカイヘイ]
1966年静岡県生まれ。1995年東京農業大学農学研究科博士後期課程修了。東京農業大学助手等を経て、2008‐09年オランダ・ワーヘニンゲン大学客員研究員。現在、東京農業大学国際食料情報学部国際農業開発学科教授。専門、植物生理学。幅広く人間の活動と生態系とを視野に入れる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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アキ
112
著者の専門は植物生理学。1990年代スギ花粉飛散防止の研究を担当する内に憎むべき花粉に魅了されてしまった。花粉が地上に誕生したのは大型恐竜が闊歩していたジュラ紀のこと。裸子植物が昆虫と共助関係を持ったお陰で生き残ってきた。花粉という専門用語を造語したのはリンネで、人類との出会いはネアンデルタール人だったという。東京都の花粉症有病率は1980年代が10%、2016年が48.8%。人類が森林を破壊し自然に対する行き過ぎた働きかけの結果、我々の身体反応に変化をもたらした。ヘクション!God bless you!2023/03/13
niisun
30
花粉にまつわる様々なエビソードは面白く読めましたが、専門家の書いた新書にしては、若干、情緒的な内容でしたね。それにしても「花粉症推定有病率」が1983~1987年の第1回調査時に10%って、中学時代(1984~1986年)にスギ花粉症の自覚があった私は、国内では最初期の罹患者ということになりますね。まぁ、なにしろ、自宅の敷地内にスギが3本も生えてるのでしようがないですけど。しかし、“花粉症”を優生学的発想から“貴族病”と捉えてきた人類の愚かしさは、コロナ禍での人種差別にも脈々と受け継がれているようですね。2021/03/23
そうたそ
21
★★★☆☆ 今年も猛威を振るう花粉症。毎年のことながら目は痒いし、鼻もグズグズと。これを読んだところで何の花粉症対策にもならないが、どうせ花粉症ならば花粉症の蘊蓄くらい語りたいという人にはうってつけか。2021/04/16
鯖
19
ネアンデルタール人も花粉症だったかもとか、ナツメヤシでも花粉症になるとか、欧米では特権階級がかかるものとされ花粉症はステータスだったとかおもしろい。花粉症と共に生きる人生ですが、一番ひどかったのはズーラシアのロシアゾーンで、ロシアの植栽のシベリア杉とかと動物の毛や体臭諸々がミックスした空気を吸ったときでしたね…。おそろしあ。著者の方が発明した界面活性剤を散布してスギ花粉とカメムシを退治するパルカットがうまいこといきますように!!!2021/06/27
もえたく
16
ネアンデルタール人が花粉症だったかもしれない話から、田淵幸一選手の引退の原因が花粉症という話題まで古今東西の研究や文献から描く花粉症の歴史。花粉症は辛いが、花粉が悪い訳ではないことがよく分かります。 「人が花粉をもつ植物から学ぶべき大事な教訓。清い心"根"を持ち、まともな言"葉"を語り、人生の"花"を咲かせ、充"実"した生涯を送る」2021/04/16