内容説明
若い頃に繰り返し読んだ名作は、やはり、特別な作品だった!小説家が若い頃に読んだ本を改めて読み直すと、本は自分自身を写し出し、はるか遠くの世界と自分とをつないでくれていたことに気付く。若い人はもちろん、全ての人への読書案内。『図書』好評連載。
目次
『月と六ペンス』サマセット・モーム
『それから』夏目漱石
『怪談』小泉八雲
『シャーロック・ホームズの冒険』コナン・ドイル
『ガリヴァー旅行記』ジョナサン・スウィフト
『山月記』中島敦
『カラマーゾフの兄弟』フョードル・ドストエフスキー
『細雪』谷崎潤一郎
『紙屋町さくらホテル』井上ひさし
『夜間飛行』サン=テグジュペリ
『動物農場』ジョージ・オーウェル
『ろまん燈籠』太宰治
『龍馬が行く』司馬遼太郎
『スローカーブを、もう一球』山際淳司
『ソクラテスの弁明』プラトン
『兎の眼』灰谷健次郎
『キング・リア』W・シェイクスピア
『イギリス人の患者』M・オンダーチェ
著者等紹介
柳広司[ヤナギコウジ]
1967年生まれ。小説家。2001年『贋作「坊っちゃん」殺人事件』で朝日新人文学賞受賞。09年『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
200
柳 広司は、新作中心に読んでいる作家です。著者と異なり私は同じ本を二度読みませんが、著者は、書評を綴っている作品を三度読んでいるので、その作品に対する思い・熱量が凄まじく、心に沁みて伝わってきます。取り上げられている作品を1/3ほどしか読んでいないのが残念です。私は最近年間500作程読んでいますが、このペースで読み続けたとしても、後30年位(15,000冊)だと思いますので、今後も同じ本を二度読まない覚悟です。2019/06/02
KAZOO
104
これも斎藤美奈子さんの新書と同様に雑誌「図書」に連載されていたものをまとめたものです。18作品についての初読時や再読時の感想について書かれています。最初にはわたしも何度も読んで洋書でも読んだ「月と6ペンス」があって再度読みたくなりました。その他にも私の好きな作品があり何度もうなずきながら読みました。この中ではまだ2作品が未読でした。2021/09/20
藤月はな(灯れ松明の火)
97
題名に惹かれて図書館で借りる。確かに一度、読んだ本を二度、三度、読むことは滅多にない。夏目漱石は「こころ」じゃなくて「それから」を選んでいる。その理由と当時の夏目門下生達の「それから」の評価も合わさる事で『それから』の一筋縄の行かなさが伝わってくる。シャーロック・ホームズシリーズでの言及は苦く、『キング・リア』での道化の言葉や盲目になったグロスターが感じた光景への視点は目から鱗が落ちるばかり。しかし、『兎の目』での最後の註の出版界の対応に唖然。その中でも「泣く行為は思考の停止」という言葉は強く、突き刺さる2019/06/23
鱒子
78
図書館本。まずタイトルのよさに惹かれました!本についての広い知識と、まっすぐな物の見方から少し外した目線。そこから綴られる読書案内。実に面白かったです。未読の中で読みたいと思った作品は、月と6ペンス、動物農場、イギリス人の患者(いずれもそのうち読もうと思いつつ先送りしてきた3作です)。2019/07/24
buchipanda3
75
著者が過去に二度(以上)読んだ本を改めてもう一度読んで書いた感想集で、十八もの国内外の小説等が取り上げられている。著者曰く「二度読んだ本は少ないが、三度読んだ本は意外に多い」。つまり二度読むほどの本はそれだけ読ませる魅力があるということのようだ。本作ではそれらの作品が持つ魅力の秘密を解き明かすかのように紹介されている。歯切れのいい皮肉とユーモアとウィットに満ちた文章は読み易く、そして読むほどにその作品への興味が募るばかりだった。特に印象に残ったのは、井上ひさしの小説家としての覚悟、太宰の解放、司馬の悩み。2019/06/09