出版社内容情報
国を越えた相互交流,漢字文化圏独自の経典,政治・社会・文化との関わりをダイナミックにとらえる通史.
石井 公成[イシイ コウセイ]
著・文・その他
内容説明
紀元前後、シルクロードをへて東アジアに伝えられた仏教は、東から西へ、また西から東へと相互交流・影響を繰り返しながら、各地で花ひらいた。国を越えて活躍する僧侶たちや、訳経のみならず漢字文化圏で独自に創りだされた経典、政治・社会・文化との関わりに着目し、二千年にわたる歩みをダイナミックにとらえる通史。
目次
序章―相互影響の東アジア仏教史
第1章 インド仏教とその伝播
第2章 東アジア仏教の萌芽期
第3章 廃仏と復興
第4章 中国仏教の確立と諸国の受容
第5章 唐代仏教の全盛
第6章 東アジア仏教の定着
第7章 禅宗の主流化と多様化する鎌倉仏教
第8章 近世の東アジア仏教
おわりに―近代仏教への道
著者等紹介
石井公成[イシイコウセイ]
1950年東京都立川市生まれ。1985年早稲田大学大学院文学研究科単位取得退学。現在、駒澤大学仏教学部教授。専攻、仏教と周辺文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yutaro13
32
本書で扱われるのは「漢字文化圏」の仏教の歴史。7割が中国仏教、残りは朝鮮・ベトナム・日本など。宗派仏教が主流の日本仏教を客観視するためにも、インドや中国他の仏教について知っておくのも有意義でしょう。僧や経典の固有名詞がずらっと羅列された記述が続くのはとても教科書チックで読むのに疲れるが、索引と参考文献が充実しており知識の整理用には向いていると思う。結局のところ、仏教の歴史は経典解釈の上乗せに次ぐ上乗せとも言えるのでしょうが、それを18世紀に喝破して早世した富永仲基の「時代を先駆けすぎている感」がやばい。2020/05/30
サアベドラ
31
伝来から近代までの東アジア諸国(中越朝日)における仏教の歩みを素描する新書。2019年刊。著者は駒大教授で、専門は日中仏教史。東アジアといってもメインは中国仏教で、全体の7割ほどを占める。本書の性質上、経典や僧の名前がたくさん登場するため、ある程度大乗仏教の知識がないと単独で読み進めるのはちょっと辛いかもしれない。個人的には日本以外のアジアの仏教(特に中国仏教)の流れを確認できたことが収穫だが、今の自分の知識では正直言って消化不良なので、もっと仏教の勉強をしてからまた読み直したい。2020/03/13
ミネ吉
20
インドでの仏教誕生から近代までの東アジア仏教史を概説する新書。中国、朝鮮半島、ベトナム、日本と地域も時代の幅も広い。それが250ページ弱にコンパクトにまとまった結果、僧侶、経典の名称が大量に出てきて残念ながら頭がついていかない。。。たまに行く博物館でアジアの仏像を見るのが好きなので手に取って見たが、自分の知識レベルだともう少し易しい本にすべきだった。でも、各国並べて歴史を概説することで、仏教がそれぞれ影響を与えあって複雑な発展(時には衰退)を遂げたことがなんとなくわかった。2025/01/31
ひよピパパ
20
東アジアという枠組みで仏教の流れをザックリと俯瞰的に捉えることができる。仏教界内部の動き、儒教や道教など他宗教との関わり、文学・芸能との関わりなど、本書の扱う範囲が広範で、とても勉強になる。個人的には、仏教に強硬に反対した唐の文人韓愈が表現の上では漢訳仏典の影響を受けていたとする点、行基が社会事業を展開した背後には、彼自身が法相宗の僧侶であり、五姓各別説の思想を受けていたとする点、本来仏教で否定されていた家族への愛情が、『法華経』の影響もあって平安時代の仏教説話で肯定的に捉えられたとする点が興味深かった。2020/07/25
Porco
18
新書1冊にするにはテーマが大きすぎて、教科書みたいな記述になってしまっていますが、知らないことだらけでした。2020/07/08