出版社内容情報
あらゆる支配はいらない。何ものにも縛られるな。目的にも、自由にも、アナキズムにも縛られるな。歌い、叫ぶ、アナキストの精神。アナーキーな文体と根源的思想と最新の知見が炸裂し、合理性の錯乱へと誘う。
内容説明
あいつはつかえる?つかえない?人間がカネではかりにかけられる。まるで家畜だ。コンチクショウ!ひとをしたがわせたり排除したりするのをアナーキーとはいわない。アナーキーとは権力をぶちぬいてやるってことだ。主義を超えた根源的な問いが、躍動する文体で炸裂する。人生は爆弾である。合理性の錯乱へようこそ。
目次
序章 アナキズムってなんですか?
第1章 自然とは暴動である―エコ・アナキズムの巻
第2章 ファック・ザ・ワールド―アナルコ・キャピタリズムの巻
第3章 やられなくてもやりかえせ―アナルコ・サンディカリズムの巻
第4章 われわれは圧倒的にまちがえる―アナルコ・フェミニズムの巻
第5章 あらゆる相互扶助は犯罪である―アナルコ・コミュニズムの巻
著者等紹介
栗原康[クリハラヤスシ]
1979年埼玉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程満期退学。東北芸術工科大学非常勤講師。専門はアナキズム研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
96
黒いカバー装丁で文体は自由奔放。本当に最近の岩波新書は攻めているな~!!考え過ぎて自らを縛るより、行動あるのみ。自由に行動できるという自由を堪能しろ。それは「常に自分を律しないと自分が駄目になる!」という考えがグルグルと廻るが、結局は徹底できずに「自分は口先だけの偽善者だ」と自己嫌悪する私にとっては、真逆の考えでした。こういう人もいるんだな。そして「人を思い通りにさせたい人はアナーキーではない」、「弱者は闘わないと死ぬ」にドキリ。『キャリバンと魔女』やエマ・ゴールドマン著作を読みたくなりました。2019/01/25
harass
90
ずっと追っていたこの著者がついに岩波新書から本をだすのかと感慨深い。無勝手流の文体で突っ走る、アナキズムのエッセイ。なにものにも縛られないアナーキーとはなにかを実に軽く語るアジビラ。ロマン主義そのものであり、批判するのはたやすいのだが、古く根源的な思想であり、それゆえに完全否定できない魅力があるのはたしか。文体と語られる内容の調和に驚く。手に入りやすいので一家に一冊。良書。2019/01/07
国士舘大学そっくりおじさん・寺
83
黒い岩波新書だと話題の本書。パラパラとめくって字面を眺めると、ひらがなカタカナだらけで、中身は椎名誠『さらば国分寺書店のオババ』ではないのかと疑うほどであるが、これは良い本である。私は著者と違い暴動なんて嫌いだし、長渕剛も嫌いだ。栗原康の本は以前にも読んだ事はあるが、文章も軽薄に過ぎる気もする。しかしこの読みやすい文章に誘われて読み進めると、「そのとおり!」と相槌を打ち、嬉しくて著者をメシに誘いたいような気持ちにさせられる。きっとアナキズムというのは、「かくあらねば」を越えてゆくものだと思う。実にお薦め。2019/01/03
ロア
47
あああ面白かったー!なんだかもう微笑ましくて、すごくバカで呆れて笑っちゃう(良い意味で!)苦笑の連続(褒めてる!)。とりあえず、野枝ちゃんの育児スキルの高さには爆笑(*≧艸≦)講義のような独り言のような、栗原さんのこの独特の踊るような文体は、アナキズムに対して深い知識と洞察があるからこそ書けるのだと思います。私は好きだなぁ!(∩^ω^∩)2019/03/08
tsu55
45
アジる、煽る、ハチャメチャにはじけた文章。 「やりたいことしかやりたくない」という著者にしてみれば、岩波だから高尚な文章を書かなければならないとなったら、全然自由じゃなくなってしまう。そんなの嫌だ。ということで、こういう文章になるのだろうか。 しかし、著者のノリに波長を合わせて、或いは反発しながら読みすすめるうちになんとなくアナキズムのアウトラインが見えてきたような気がする。 捉えどころがなくて解りにくく感じていたアナキズムというというものが、少し身近に感じられるようになった気がする。2018/12/06