出版社内容情報
曲がり角に立つ現代社会。このあとの時代の見晴らしを、どのように切り開くことができるか。前著から約十年、巨大な問いに改めて応答。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
(haro-n)
80
生物学におけるロジスティック曲線が、有限な環境である地球に住む人間にも当てはまるとし、人類は爆発的増殖を経て安定平衡期に入りつつあるとした上で、日本やフランス等の先進国の人々がどのような精神的変化を迎えているのかを考察することを通して、地球上の人類が今後築いていくであろう幸福な社会像について論じている。色んな調査方法を知れたことが単純に面白かった。特に世界価値観調査なるものは長期間の調査結果から様々な価値観の変容を発見できそうで興味深く思った。幸福な社会像については、少し表面的な感じがした。↓2018/09/05
うえぽん
45
人間の増殖率が反転し、第二の巨大な曲がり角に立つ現代社会がどのような方向に向かうかを探究。日本の若年の価値観は、70年代から2010年代までに満足度が増大しつつ、結社・闘争性は減少。最近のフランスの青年達の幸福とは、経済的な富に関わることではなく、身近な人達との交歓と自然と身体との交感だとし、多くの国において増大している価値は「寛容と他人の尊重」だという。20世紀の壮大な試行錯誤を繰り返さないよう、肯定的、多様である、現在を楽しむ、を統合し、小さなネットワークの集団を新時代の萌芽とすべきというのは合点。2024/07/05
壱萬参仟縁
42
<情報化/消費化資本主義>とは「デザインと広告とクレジット」という情報化の努力によって消費市場を自ら創り出すシステムで旧来の「資本主義の矛盾」をみごとに克服するシステム(12頁)。環境廃棄物の無限の排出を帰結するシステム(12-13頁)。球はふしぎな幾何学である。無限であり、有限である。球面はどこまでいっても際限はないが、それでもひとつの「閉域」である(13頁)。宇宙は無限かもしれないけれども、人間が生きることのできる空間も時間も有限である(16頁)。2018/07/29
白玉あずき
40
1~5章にかけては、閉鎖空間における経済成長の限界や生物個体数の限界など、多くの人の似たような言説が以前から流布していたので、何年前の出版かと慌てて奥付を確認したほどだった。それとも見田先生の論が先だったのかしらん。ここまではレビュー論文の感覚で読めば良いかと。6章あたりからが俄然先生の面目躍如。この徹底した人間に対する信頼と楽天性。タイムスケールの大きさ、視野の広さ。「貨幣はおそらく、神と国家の中間に定位している。」とか、20世紀型革命の破綻の構造とか。普通これだけで本の2冊や3冊は書ける。2018/10/04
ロマンチッカーnao
37
二時間で読み終われます。しかし、内容は決して軽いものではなく、十分に読み応えのあるものです。歴史的にみて、今が大きな転換点であることは多くの人たちが知るところです。では、その変化の大きさはいかほどのものか。原始時代と今の文明時代。その差くらい大きな変化。そして、次の未来はどんな未来か。示唆されていますが、果たしてどうなるのかな。めっちゃ良い本でした。2019/02/22
-
- 和書
- 銀幕の湖国 別冊淡海文庫