出版社内容情報
こんなはずじゃなかった…。アラフォー/非正規/シングル/子どもなし。気がつけば、崖っぷち。
内容説明
就職氷河期以降の若年層が抱える困難、いまだに根強い日本の男女差別。その両方を抱えながら、働くことも、結婚して子どもを産み育てることも期待されているのが、いまのアラフォー/非正規/シングルの女性たち。「一億総活躍社会」の掛け声の陰で、困難を抱えてひっそりと生き抜こうともがく女性たちの等身大の姿に迫る。
目次
序章 女性の貧困とは?
1章 家族という危ういセーフティネット
2章 家事手伝いに潜む闇
3章 正社員でも厳しい
4章 非正規という負の連鎖
5章 結婚・出産プレッシャー
6章 女性の分断
終章 一筋の光を求めて
著者等紹介
飯島裕子[イイジマユウコ]
東京都生まれ。ノンフィクションライター。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。大学卒業後、専門紙記者、雑誌編集を経てフリーランスに。人物インタビュー、ルポルタージュを中心に『ビッグイシュー日本版』『婦人公論』等で取材・執筆を行っているほか、大学で非常勤講師を務めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
122
「単身女性の3人に1人が貧困に瀕している」という事実にフォーカスを当てた本を書き上げてくれた作者と出版社に感謝を。私も家を出たかったのに、結果は26歳でパートの実家暮らしなので全然、他人事じゃない。インタヴューを受けた女性たちはただ、自分の力で幸せに生きたいだけだ。なのに家庭に居場所がなかったり、職場ではパワハラ被害を受けていたり、その結果、精神的に参ったりするという踏んだり蹴ったりな状態だ。そして司書や学芸員が「官製ワーキングプア」に位置づけられているのは、民間の介入やパート募集が多い事実を知ると納得。2018/12/08
夜間飛行
115
この問題には様々な側面があるようだ。正規非正規による差別は男とほぼ同じ。親との同居については男ほど批判されないが、その分結婚や出産を巡るプレッシャーがきつい。シングルマザーへの逆風も制度上に残存している。2015年の「女性活躍推進法」はほとんどの項目がエリート女子向きにできており、貧困女子は無視されているようだ。女性は上下二層に分断され、いったん躓いたら収入だけでなく「関係性の貧困」に陥ってしまう。自己責任といっていていいのか。老いた親か、風俗業をセイフティネットとするしかない状況を社会が生み出している。2019/08/04
どんぐり
92
このルポで扱うのは、男性が外で働き、女性は家事・育児を担うという「男性稼ぎ主モデル」ではない。結婚・出産をしていない、非正規でしか働けない、親元から自立できない女性たちである。なかでも注目すべきは、ひきこもりを含めた若年無業者(ニート)の63万人(2013年の労働力調査)の統計に含まれていない「家事手伝い」のパラサイト女性。頼れる親のセーフティネットがなければ、生活保護しか残されていないだけに、より深刻だ。正規/非正規、既婚/未婚、子どもの有無、総合職/一般職など女性間格差の溝は深まるばかり。日本の総人口2019/07/12
Shoji
76
世の中の女子たちはもっと怒るべきだ。 安倍首相は成長戦略のひとつの柱として女性の活躍を掲げている。 「一億総活躍」と叱咤激励し、女性が働き活躍することを期待している。 と同時に、子を産み育てることも期待している。 昔、サラリーマン川柳に「無理をさせ無理をするなと無理を言う」というのがあった。 どだい無理やで。 勉強しろ、働け、活躍しろ、結婚しろ、産め、育てろ、介護しろ、、、、 そんなスーパー女子、おらへんわ。 世の中の女子たちはもっと怒るべきだ。2016/12/03
とよぽん
54
貧困の基準は何だろう。この本は女性(若年~中高年が中心)の貧困が一体いつから増えてきたのか、社会構造の変化をたどる。→1985年、均等法の年。また、女性の貧困はなかなか可視化されず社会に埋もれていることにも注目している。学歴、景気の波、健康状態、最初の職場の環境、結婚・離婚、出産など、貧困に陥るか否かの分岐点はたくさんある。今の社会は誰にとって生きやすい社会なのか?「自助」を真っ先に掲げる政権の、あの人は何と答えるだろう。2020/11/12