内容説明
南海トラフ地震。それは、日本列島の宿命ともいえる地震だ。マグニチュード8~9クラス。今後三〇年以内の発生確率が約七〇パーセント。日本の経済と社会の中枢を直撃するこの巨大地震は、ひとたび起これば未曽有の大災害をもたらす可能性がある。いつ来るのか。何が起きるのか。どう備えるのか。第一人者が語る。
目次
序章 巨大地震の胎動
第1章 くり返す南海トラフ地震
第2章 最大クラスの地震とは
第3章 津波、連動噴火、誘発地震
第4章 被害予測と震災対策
終章 それでも日本列島に生きる
著者等紹介
山岡耕春[ヤマオカコウシュン]
1958年静岡県生まれ。現在、名古屋大学大学院環境学研究科教授。地震予知連絡会副会長、火山噴火予知連絡会幹事。専攻、地震学、火山学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やすらぎ
81
マグニチュードの説明が分かりやすい。M6は10×10kmが50cmずれる。3/11の地震M9は200×500kmが50mずれた。大規模すぎる…南海トラフ沿いの地震は、684年887年1096,99年1361年1498年1605年1707年1854年1944,1946,1968年に発生。プレートは年間5cm 100年で5m沈み込む。そして、その日は必ず来る…と。複数のプレートがぶつかり、山が隆起し、雨が降り、植物は栄え、海を潤す。地震や災害と引き換えに、この島国日本は、素晴らしい恵みを頂いていることが救い。2019/03/10
きみたけ
73
関西に住む者としては南海トラフ地震は避けて通れないですね。周りに比べたら防災意識は高い方だと思いますが、対策が万全とは思ってませんので関連本を読んで勉強、実践あるのみです。著者は名古屋大学大学院環境学研究科教授、地震予知連絡会副会長、火山噴火予知連絡会幹事の山岡耕春先生。南海トラフで発生する巨大地震について、その仕組みから防災までできる限り読みやすく解説した一冊。今住んでいるところは高台なので津波の影響は受けませんが、会社で被災した場合、氾濫するであろう淀川を越えないと家に辿り着かない😱2025/01/28
skunk_c
70
地震予知連絡会会長を務めた著者が、南海トラフ地震の発生メカニズムから、富士山の噴火との連動や想定される被害範囲と内容をコンパクトにまとめたもの。東日本大震災についても、海溝型地震としての共通性があるためメカニズムを解説しているが、南海トラフは震源がはるかに近くなるため揺れているうちに津波に襲われる地域もあるとか。また琉球弧ではこの手の地震が起こりにくいことも示されていて興味深かった。地震予知についても考え方が示されているが、確度の高い予知が現状では困難なため、やはり一人ひとりがまず備えて行動せよとのこと。2024/12/28
壱萬参仟縁
45
地震とは地下の硬い岩盤が急激に揺れる現象(6頁)。駿河湾の奥の富士川の河口から四国の足摺岬沖までのびる南海トラフ(11頁)。古くは西暦600年頃まで遡る(12頁)。南海トラフは、東海地方から西日本太平洋側の海底地形につけられた名称(16頁)。昨日(これを書いているのは5月19日)中電の人に29頁の浜岡近辺の被害地震を指摘した。887年仁和地震、1096永長東海地震、1361正平地震、1498明応地震、1605慶長地震、1707宝永地震、1854安政東海地震、1944昭和東南海地震と相当発生している。2016/07/07
鬼山とんぼ
28
定評のある地震研究者による概説書を連読。静岡生まれで名大教授の著者は手堅い論理、簡明な表現で生活者にもわかりやすく説明しようという姿勢が強く窺われ、おかげで一通り理解した気分にさせて頂いた。発生メカニズムからして太陽が毎日動くのと同じであり、30年以内に70%の確率で起きるというのは嘘でも脅しでもない。ただ地下の状況が一定でないから、いつどの程度の強度の地震が襲ってくるかが判らないだけだ。いいですよ。この本は。東京から鹿児島にかけて、少しでも上手にダメージを減らそうと考える人全員に読んで欲しいと思った。2024/06/03