内容説明
長期化する不況、失業者の増加、年金制度の破綻、少子高齢化の進行…。アベノミクスによって日本経済は「長期衰退」の時代に入り、いまや「日本病」とも呼べる状態に陥っている。『逆システム学』で市場や生命の複雑なしくみを解明した著者たちが、この「病気」のメニカズムとダイナミクスを明らかにし「治療法」を提示する。
目次
第1章 「日本病」と予測の科学
第2章 「日本病」の症状―アベノミクスの失敗
第3章 抗生物質の効かない日本経済―バブルとショックの悪性化
第4章 「主流派」の言説と実感のずれ―社会の破壊
第5章 エピゲノム病としての長期衰退
第6章 周期性のコントロールが消える時
第7章 「日本病」からの出口はどこにあるのか
著者等紹介
金子勝[カネコマサル]
1952年東京都生まれ。1980年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。現在、慶應義塾大学経済学部教授
児玉龍彦[コダマタツヒコ]
1953年東京都生まれ。1977年東京大学医学部卒業。現在、東京大学アイソトープ総合センター長兼東京大学先端科学技術研究センター教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Rubik's
66
★★★★☆2019/08/08
壱萬参仟縁
40
ダイナミクスとは、複雑なシステムが変わって様子を予測する方法(4頁)。データによる予測の暴れ牛は検証して取り抑えておくことが必須(34頁)。政権延命と、戦争を可能にする法案を進めるための隠れ蓑として、フィルターをかけた大量のデータがアベノミクスの成功として政府から垂れ流しにされた(56頁)。真剣に地域に雇用を作り出す産業を育てないと、日本経済は衰退が止まらなくなる(77頁)。厚労省の地域包括ケアでは病院追い出しと家族の介護負担だけが増えていき、高齢化が進む弱小自治体から切り捨てられていくだけ(104頁)。2016/07/06
ゆう。
26
経済学と生命科学の視点から、日本社会の抱える「日本病」の解明を試みた内容となっています。個人的にはとても勉強になり、おもしろかったです。アベノミクスがもたらした日本の長期衰退は多臓器不全に陥っており、病気の根源を治療しなければ治癒できないのと同じように、失政の根源にメスを入れる必要性があるのだと思いました。2016/06/13
けんとまん1007
23
凄い知的刺激に満ちた一冊。病理学+経済学というレベルではない。病理学関連のところは自分には難しいところも多かったが、今の経済状況・政策と絡めて描かれているので、かえってわかりやすい部分もあった。今のこの国を、どうしようとしているのだろうか?東日本大震災の時、日本人の民度の高さを称賛されたこの国を、今の政治家・官僚は壊そうとしているのは明らかだと思う。これを何とかするには、一人一人の力と意志の積み重ねしかない。それにしてもメデイアの酷さよ。2016/03/16
鯖
20
東大の医学と経済の教授が日本の宿痾について論じた新書。企業の内部留保、消費税増税は法人税減税で相殺されてるとか、少子高齢化の再生産とか、扶養者130万の2号保険者は実情にまったくあってないとかそりゃそうだなことばっかりなんだけど、そりゃそうだがまったく変わらないのはなんでなんだぜ…。30年以上不景気でやばい方向にしかきてないんだから変えてほしいんですけど…。変えてほしいことは変わらんけど、インボイスとかマイナンバーとか一瞬で決まるよね。2023/02/26